5   弟子になることはできません (メッセンジャー23 2008.01.19)
メッセンジャーはイエスさま 23
『弟子になることはできません』 ルカ 14:25-33
 
この聖書箇所は、新共同訳聖書では「弟子の条件」、現代訳聖書では「主の弟子となる者の覚悟」という表題がついています。
イエスさまは3回繰り返しました。
「わたしの弟子になることができません。」(26,27,33節)
 
この箇所は、とても緊張する聖書箇所といえましょう。
なぜなら、イエスさまの要求をまとめると「家族や自分をも憎み、十字架を背負い、財産を捨ててしたがう。」ことがなくては、イエスさまの弟子になることができないというのです。
さっと読むと、悲壮なクリスチャンのうしろ姿が連想されませんか。
悲壮な不退転の覚悟で、十字架を背負って歩むクリスチャン。
教会に通い始めの人なら、ひいてしまいますね。
「こんな苦しいなら、遠慮しまーす!」と、元気に言えちゃいそうです。
 
確かに、イエスさまの弟子になるために覚悟は必要かも知れません。
しかし、この箇所から、もう一つの側面を開いてみましょう。
その鍵は、28-30節、31-32節のたとえばなしです。
 
「塔」を建てるとありますが、口語訳では「邸宅」と書かれています。
ふつう塔とは、ぶどう畑の見張りの塔なのだそうですが、ここで言われている塔は、そんな小さなものではないはずです。
費用を計算しなくてはならないほどの大きさであり、邸宅とも訳せるものなのです。
それはもしかしたら、宗教的な塔をイメージしているのかも知れません。
天にむかってそびえる、高い高い塔です。
いわば、神様の国への道です。
だとすれば、邸宅は、神様の国での住居と言えましょう。
 
そう考えれば、塔の費用は、神様の国に受け入れられるための費用です。
神様に捧げる代償です。
ところが問題があります。
旧約聖書のいけにえを見てもわかるように、神様は完全なものしか受け付けないのです。
 
「私の父は国会議員です。」
「母が大会社の社長です。」
この世の生活では、役に立つことかも知れません。
「5代も続いているクリスチャンです。」
「兄が大きな教会の有名な牧師です」
教会では、少しはちやほやされるかも知れません。
しかし、神様の前では、何の価値もありません。
 
自分自身の善行や熱心な信仰も、少しは役に立つかも知れません。
でも、それでは塔の完成はできません。
神様の要求は完全無欠だけなのです。
家族のすばらしさも、自分のすばらしさも、じっくり計算するならば、足りないことに気がつくのです。
気がつかなけりゃ、笑い者になるだけです。
 
後半のたとえばなしは、多勢に無勢、勝ち目のない戦いのたとえです。
これは、神様の要求と自分自身の姿をあらわしています。
完璧を要求する神の国と不完全で中途半端な自分。
ちょっと考えたら見込みがないことがわかります。
「わたしの弟子になることができません。」(26,27,33節)
イエスさまの言葉が、重くのしかかるようです。
 
計算が合わない、見込みのない、この2つのケース。
どうしたらいいのでしょう?
 
第一に、「戦うのをやめる」ことです。
頼りにしようとしていたものを、十字架につけてしまいましょう。
十字架、それは、死と呪いと滅びの象徴です。
地位や名誉、財産はもとより、自分の善行や宗教的な熱心さまでです。
それが誇りとならないように、十字架につけて滅ぼしてしまえばいいのです。
これがあなたの十字架です。
 
そして第二に、「講和のための使者をおくる」ことです。
神様の要求に対して、てんで足りない自分がいます。
講和の使者がいなかったら、滅ぼされるほかありません。
この難しい講和を成り立たせる使者こそが、イエスさまなのです。
あなたに与えられたもう一つの十字架、イエスさまの十字架が、神様との講和を成し遂げるのです。
あなたの罪は赦され、あなたは神様の子となるのです。
 
頼りにしていたものに頼るのをやめたとき、本当の頼るものが与えられます。
そしてあなたは、神様の国の民となるのです。
あなたが神様の子・神様の国の民となるための費用(代償)の計算をしっかりすることです。
あなたの中にある誇るべきものでは、支払いきれないことを知ることです。
そして、最高の講和の使者、イエスさまの十字架を選択しましょう。
 
イエスさまの弟子になりましょう。
それは、すべてを失うことではありません。
すべてを受け取ることなのです。
あなた自身を徹底的に憎むとき、あなたは徹底的に愛されます。
この愛の中で、喜んで生きていきましょう。



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