シリーズ イエス様と話そう 24
『カイザルへの税金』 ルカ 20:20-26
今週の聖書箇所は、「カイザルへの税金」です。
律法学者や祭司長たちが、何とかイエスさまの言葉じりを捕えて、陥れようとする場面です。
彼らはいつもの手口を使います。
どちらを答えたとしてもイエスさまの立場が危うくなるような、二者択一の質問をするのです。
今回の場合、納めるべきであると言えば、民衆の人気を失います。
また、納めるべきでないと言えば、ローマの敵として告発されます。
どちらを答えても、イエスさまの立場は危うくなるのです。
また、今回は念を入れて、イエスさまの油断を誘おうとしています。
まず、祭司長たちが直接質問するのではなく、間者に質問させています。
さらに、おべんちゃらで、イエスさまにすきを作ろうとします。
「先生。私たちは、あなたがお話しになり、お教えになることは正しく、またあなたは分け隔てなどせず、真理に基づいて神の道を教えておられることを知っています。(21節)
まさに、用意周到です。
ところで、この問答には、少しちぐはぐなところがあります。
22節で、間者はこう質問しています。
「カイザルに税金を納めることは・・・」
しかし、25節でイエスさまはこう答えているのです。
「カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」
「納める」という問いに対して、「返す」という答えなのです。
そのデナリ銀貨(上の画像)には、カイザル(皇帝ティベリウス)の肖像が彫ってありました。
この銀貨は、銀をカイザルが調達し(調達させ)、作った(作らせた)ものです。
つまり、カイザルの作品、カイザルのものです。
それを流通に使っている、または持っているということは、カイザルに借りているという状態なのです。
カイザルのものを借りているのだから、カイザルに返すのだとイエスさまは言ったのです。
この出来事は、マタイ22章にもマルコ12章にも載っています。
マタイ22:18では、イエスさまは「偽善者たち。なぜ、わたしをためすのか。」と言われました。
その後で、「返しなさい」と答えたのです。
イエスさまの知恵が、偽善者たちの悪巧みを破ったのです。
しかし、それだけではありません。
イエスさまは「神のものは神に返しなさい。」とも言ったのです。
デナリ銀貨はカイザルが作り、カイザルの肖像と銘があるからカイザルのものです。
では、神様のものとは何でしょうか。
神様が創り、神様の肖像と銘があるものです。
それは、もちろん、人間です。
創世記 1:26 そして神は、「われわれに似るように、われわれのかたちに、人を造ろう。(中略)」と仰せられた。
イエスさまは、質問した偽善者に向かって「あなたは神のもの」と宣言したのです。
「あなたがどんな状況にあろうと、神様は決して見捨てない。あなたがたがおべんちゃら(21節)で言ったことは、まさに、その通りなのだ。
それが神様の道・神様のこころなのだ。」と宣言したのです。
聖書にある通りです。
ヨハネ3:16-17 神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。神が御子を世に遣わされたのは、世をさばくためではなく、御子によって世が救われるためである。
私たちも偽善者です。
どんなに善を行おうとしても、弱さや罪深さによって失敗してしまう存在です。
不十分で、中途半端な偽善者です。
しかし、そんな私たちを、持ち主のところへ返す! それがイエスさまの決意です。
神様の宝物である私たちを、必ず返す!
そのための証文、決して見捨てない保証書が、イエスさまの十字架なのです。
驚嘆した彼らが、その後どうなったか。
その答えは、聖書には書いてありません。
驚嘆した私たちは、その後どうしますか。
その答えは、私たちにかかっています。
イエスさまは、あなたの弱さ、あなたの罪深さを知っています。
イエスさまは、あなたのすばらしい価値をも知っています。
あなたは、神様のもの、神様の大切な宝物です。
イエスさまは、あなたを神様のもとへ返します。
いのちがけで、返すのです。
あなたのためにお祈りしています。
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