24   からし種・パン種のたとえ(たとえ03 2004.20.30)
シリーズ イエスさまのたとえばなし 03
『からし種・パン種のたとえ』 マタイ 13:31-35
 
今週の聖書箇所は、当時のユダヤ人にとって非常に身近な物のたとえばなしです。
からし種は、当時のユダヤの世界では、小さいものの代名詞としてよく使われていました。
小さいものをたとえるときの常套句だったのです。
また、当時はパンを自宅で焼くことが多かったので、パン種も日常生活に欠くことのできない物です。
 
彼らは、これらの物の姿も性質もよく知っていました。
なので、見えないものを見える形で指し示すというたとえの本質にぴったりの物だったのです。
まさに、たとえの真骨頂です。
何にも説明が要りません。
しかし、現代の私たちには、説明がないと少し分かりにくいでしょう。
 
からし種について見てみましょう。
ここでのからし種は、黒がらしといわれるものです。
1年生の草で、成長はものすごく早い。
そして、その小さな種に似合わず、丈は3メートル以上にもなり、鳥が巣を作ることも珍しくなかったそうです。
当時の彼らには、その姿は非常にはっきりとイメージできるものでした。
 
また、彼らユダヤ人には、その姿が旧約聖書を思い起こさせるすものにもなっていました。
それは、からし種の木が、大きく枝を張り、色々な鳥が巣を作る光景です。
まるでそれは、旧約聖書で預言者たちが語っていた神様の国のようです。
神様の枝(守り・支配)が全世界に及び、さまざまな民族(鳥)がそこに憩う。
神の国が世界に広がり、大きな愛が世界を包むイメージが、彼らには見えるのです。
 
また、この生長のもとになるいのちは、種(御言葉)にあります。
そして、生長させる原動力は、日光と水です。
これらすべては、神様からのプレゼントです。
人間の努力によるのではなく、御言葉のいのちと神様の力で神の国は広げられるのです。
小さな種から大きく生長する姿が、「小さな言葉(信仰)かもしれないけど、その影響は世界に大きく広げられていく」ことをいきいきと感じさせるのです。
 
パン種とはイースト菌のことです。
現代のようにイースト菌だけをさすのではなく、前日こねたパンの一部を焼かずに取っておいて、それをパン種としたのです。
次の日に新しい小麦粉をこねたものにパン種を混ぜるということを繰り返して用いました。
パン種を入れると、小麦粉のかたまりはイースト菌の働きによって柔らかく、おいしく、いい香りを放ちます。
それは小麦粉の力ではなく、ほんの少量加えられたパン種(イースト菌)の力です。
これは、御言葉がその人の内に入ると、その人を内側から変えていくことをたとえているのです。
先ほどのからし種が外側への変化であるのと対照的に、内側の変革を示しているのです。
 
パン種が入ると、小麦粉はどのように変化するのでしょうか?
第一に、それは、静かな、ゆっくりとした変化です。
火花を散らし、爆音を立てて、すさまじい勢いで変化するのではありません。
しかし第二に、それは劇的な変化です。イースト菌は、小麦粉自体を完全に変革します。
ベーキングパウダー(ふくらし粉・重曹)といわれるものもありますが、それはただ膨らませるだけで、小麦粉に変化は起こしません。
しかし、パン種は小麦粉自体を変化させるのです。
それは劇的な、本質的な変化です。
イエスさまのこのたとえを聞いた人たちは、パン種という言葉からこういうイメージを持つことができたのです。
 
からし種・パン種のたとえは、御言葉のいのちと力を示しています。
私たちの内側の変革も、世界(外側)の変革も起こす、大いなる力・いのちです。
しかも、生長させるのも、変革させるのも、いのちを与えるのも、すべて神様からのプレゼントなのです。
私たちはただ、いのちある御言葉を受けたらいいのです。
 
御言葉には力があります。
いのちがあります。
世界規模に大きなエネルギー、劇的に本質的に変革するエネルギーがあります。
すばらしい奇蹟の力です。
しかも、神様の御言葉があなたに入ったなら、奇蹟はすでに始まっているのです。
 
神様の言葉、愛の言葉が、あなたに臨みます。
その力は、あなたのすべてを変えます。
それはゆっくりかも知れない。
しかし、それは劇的な変化です。
気がつかないかも知れない。
しかし、それは世界を巻き込むエネルギーです。
そして、もう、それは始まっています。
 
あなたのためにお祈りしています。



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