6   ザアカイ(話そう06 2004.06.05)
シリーズ イエス様と話そう 06 
『ザアカイ』 ルカ 19:1-10
 
「強盗と人殺しと取税人」この三者は、当時のユダヤの世界で、同列に並べられる嫌われ者でした。
強盗と人殺しが嫌われるのは、納得できます。現代でも嫌われ者です。
しかし、取税人はどうでしょう。
税務署に勤めているからといって、嫌われることは現在はありません。
当時のユダヤの特殊事情です。
 
当時のユダヤは、ローマの属国(植民地)でした。
ローマはそこから税金を集めるために、取税人を任命したのです。
取税人になるのは、ユダヤの人で、ローマに取税人になるための権利金を多く払った者です。
ローマから命じられた税金を集め、ローマに納めるのが仕事です。
しかし、彼らは民衆から不当に税金を取り、私腹を肥やしていたのです。
ユダヤ人でありながらローマに仕え、同胞のユダヤ人から不当に税を取り、私腹を肥やす取税人は、嫌われ者だったのです。
 
エリコの町は、ユダヤの中でも特に富んでいる町なので、税額も多かったことでしょう。
そこの町の取税人の頭が、ザアカイです。
取税人の中の取税人、嫌われ者の中の嫌われ者です。
当然彼は金持ちでした。(2節)
 
「衣食足りて、礼節を知る」という言葉があります。その通りです。
しかし、さらに物が豊かになって、財産が満ちたらどうなるでしょう。
「財産満ちて、・・・を知る」この中にあなたは何を入れますか?
 
20代のころ、私は大手進学塾に勤めていました。
講師の数だけで200人以上という大きな塾です。
その中で、私はナンバーワン講師でした。
私は自分の能力を信じ、収入を誇り、地位・名誉を高々と掲げていました。
誰も、何も、私の勢いを阻むものはありませんでした。
 
しかし、その後私が得たものは、孤独でした。
そして、言いようもない絶望感。
仕事にトラブルがあったわけではありません。
すべて順調です。
でも、どうしようもない孤独、どうしようもない絶望でした。
無意識のうちに、私は追い込まれていきました。
そして、私はすべてを捨てて逃げました。
私は知りました。
「財産満ちて、孤独を知る」
「財産満ちて、絶望を知る」
 
ザアカイは背が低くてイエスさまを見ることができませんでした。
普通なら、まわりの人が「お前は背が低いから、前に行けよ」と開けてくれることでしょう。
しかし、彼にはそういうことを言ってくれる人もいなかったのです。
逆に意地悪されて、入れてもらえないような男だったのです。
大群衆の中、ザアカイは孤独でした。
彼には、満たされない心の渇きがありました。
彼の魂は、救いを求めていました。
彼は、自分でもわからないうちに、イエスさまの中に救いを求めていたのです。
恥も外聞もなく、彼は木に登ります。
 
「上を向いて写真を撮ると、5歳若くなる」という話しを聞いたことがあります。
皆さん、真上を見てください。
次に、真下を見てください。
上を見ると、自然に口が少し開きます。
しかも何の作用かわかりませんが、顔の皮膚が引っぱられて「ハイ、チーズ」のときの顔になります。
逆に下を見ると、口は閉じ、皮膚が集まってきて、にこやかな顔がしにくくなります。
「上を見る顔」と「下を見る顔」は、それほどちがうのです。
 
イエスさまはこの「上を見る顔」でザアカイに呼びかけました。
「ザアカイよ」(5説)
彼にとってこの呼びかけは衝撃的でした。
彼は今まで真心をこめて「ザアカイ」と呼ばれたことはありませんでした。
ユダヤの人たちからは「裏切り者」「ローマの手先」「ザアカイ(皮肉たっぷりに)」と呼ばれ、手下の取税人からは「ザアカイ様」「お頭」と呼ばれていたことでしょう。
 
イエスさまは違いました。
彼を「ザアカイ」と呼んだのです。
ザアカイという言葉は「聖い人」「義人」という意味です。
取税人の頭に対して、イエスさまは「聖い人」と呼びかけたのです。
イエスさまはザアカイに対して、信頼と愛をお示しになりました。
「きょうは、あなたの家に泊まることにしてあるから。」
 
今までの生活の中で、彼はこのザアカイという名前を恨んだ事も多かったでしょう。
彼にとってまったく似つかわしくない名前なのです。
しかし、これからは違います。
彼は生まれ変わったのです。
 
孤独の中で、イエスさまの愛に満たされた彼は変わります。
彼は財産の半分を貧しい人たちへの施しに使います。
そして残りの半分は償いに使います。
彼は「4倍にして返します」と言いました。
本来は、2倍でいいのです。
いえ、彼の場合は、自主的に返すことになるので、1.2倍でいいのです。
4倍というのは、意識的な強盗の場合なのです。
 
生まれ変わった彼にとって、財産は存在の支えではなくなりました。
彼にとって誇るべき物は、いまや財産や地位ではなく、神様の愛なのです。
すべてを捨てて、彼は神様の愛に飛び込びました。
まさに「愛満ちて、神様を知る」人生です。イエスさまは、ザアカイのように本当の居場所を失った人を捜し、救うために来られたのです。(10節) 
私たちを本当の居場所に帰すために。
 
イエスさまは、あなたの孤独を知っておられます。
イエスさまは、あなたのむなしさを知っておられます。
イエスさまは、あなたの本当の居場所を知っておられます。
イエスさまは、あなたに呼びかけます。「聖い人よ」
イエスさまの愛に満たされて、あなたは生まれ変わります。
ザアカイのように・・・
 
あなたのためにお祈りしています。



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