モーセの後継者ヨシュア

「モーセの後継者ヨシュア」ヨシュア記1章1節~9節

以前、ストレスについてお話しました。ストレスと聞くとあまり良い印象を受けません。ストレス社会とかストレスによる精神の病を思い出します。しかし、ストレスとは外から与えられる力を表すことばですが、ストレスにも悪いストレスと良いストレスがあります。良いストレスのことを別のことばではチャレンジという言葉に変えることもできるでしょう。全くストレスのない人生とはどのような人生になるでしょうか。それこそ、喜びの無い味気ない人生となってしまいます。人は程よいストレスによって喜びや達成感を感じるものです。

今日は、ヨシュアの人生を通して、どのようにストレスを受ければよいかについてお話します。ヨシュアとはどのような人物でしょうか。モーセとイスラエルの民男性だけで60万人がエジプトを旅立った後、彼らは荒野を抜けて、カナンの地に近づきました。民数記13章で、モーセはカナンの地を探らせるために、各部族から代表者一人を選び、12人の偵察隊をカナンの地に送り出しました。40日後に彼らは、モーセたちの所に帰って来て、その報告をしました。その時、12人のうち、10人は、カナンの地の住民は体も大きく、城壁に囲まれた大きな町で、我々には彼らを滅ぼす力がないので、エジプトに引き返すべきだと報告しました。民はその報告を聞いて、大声を上げて叫び泣いたとあります。その時、ヨシュアとカレブは立ち上がり、「もし、主の御心にかなえば、私たちをあの地に導き入れ、それを私たちに下さるだろう。あの地には、乳と蜜とが流れている。」と民を励ましました。しかし、彼らは、石で彼らを打ち殺そうとしたとあります。この報告を受けて、イスラエルの民はエジプトに帰ろうとしました。その結果、イスラエルの民は神様の怒りを受けて、40年荒野をさ迷い歩くことになってしまったのです。12人は同じ状況を見ながら、10人は否定的な意見を報告しました。しかし、カレブとヨシュアは、その状況を見ながらも、神様の助けがあればその地を征服できると信じたのです。カレブとヨシュアは自分達の力ではなく、神様の力を信じたのです。

ヨシュア記の1章で、モーセが亡くなり、その後継者として、神様が指名したのがヨシュアでした。この時、ヨシュアはモーセの従者とあります。ヨシュアはモーセに仕え、指導者となるためにモーセから学んでいました。そのヨシュアに神様が直接、モーセの後を引き継いで、イスラエルの民をカナンの地に導くように命令されたのです。ヨシュア記1章の2節から9節の神様のことばの中で、「強くあれ、雄々しくあれ。」という言葉が二回使われています。また、全体の内容は、ヨシュアを励ますことばとなっています。このことばから、ヨシュアがモーセの後継者となることをいかに恐れていたかがわかります。モーセですらこの男性だけで60万人(女性子供を含めると100万人)の人々をここまで導くのに苦労しました。ヨシュアはモーセの近くでそれを直接見て来た人です。あの偉大なモーセすらあれほど苦労したのに、自分のような者がイスラエルの民を導いてカナンの地を征服できるだろうか。ヨシュアの受けたストレスはどれほど大きなものだったでしょう。しかし、ヨシュアはこの神様からのチャレンジを受ける決心をしました。そのカギとなる神様のことばが3節のことばです。「わたしは、モーセとともにいたように、あなたとともにいよう。わたしはあなたを見放さず、あなたを捨てない。」ということばです。確かに、モーセは偉大な人物でしたが、そのモーセを偉大にしたのは、モーセとともにおられた神様でした。そのことを、ヨシュアは良く知っていたので、この言葉によってヨシュアは神様の命令を受け取ることができたのです。この言葉はヨシュアだけではなく、神様はイエス様を通して私たちにも与えてくださいました。神様は私たちにストレスを与えると共に、「神は私たちに負いきれない重荷をおわせられない」「神は試練と共に脱出の道を備えてくださる」「神が共にいてくださる」この三つの約束を与えてくださいました。私たちは、この神様からの約束を信じる時、苦しみや試練を乗り越えることができるのです。

ヨシュアはこの後、二つの試練を乗り越えなければなりませんでした。(1)ヨルダン川を渡ること。(2)城壁に囲まれたエリコの町を支配することです。しかも、この事は迅速に行わなければなりません。何カ月もかけていたら、周りの国から攻められてしまうからです。

(1)ヨルダン川を渡るイスラエルの民。(ヨシュア記3章4章)イスラエルの地図参照

カナンの地を征服するためにはヨルダン川を渡らなければなりません。ヨルダン川の川幅は季節によって違います。乾季には問題はありませんが、雨期に入ると水かさが増し、大人が渡るにも困難になります。まして、イスラエルの民は男だけで60万人、女性や子供、家畜もいます。これだけの人数が渡るとなると、大変な困難な状況になります。それゆえ、カナンの人々はイスラエルの人々がヨルダン川に近づいても、安心していた、または、油断していたのです。ここで神様はヨシュアに命じました。契約の箱をかつぐ祭司たちを先に遣わし、彼らの足が川にかかったなら、川の水がせきとめられ、乾いたところを歩いて渡れ。」この奇蹟は、神様が紅海を二つに分け、イスラエルの民が海の乾いたところを歩いて渡ったのに似ています。この事は、ヨシュアがモーセの後継者としての証であり、神様がモーセと共にいたようにヨシュアと共におられることの証です。ヨシュアは祭司たちに命じて契約の箱をかつがせ、ヨルダン川に向かわせました。ヨシュアはどんな気持ちだったでしょう。いよいよ、祭司たちの足がヨルダン川に入りました。すると、神様の約束通り、川の流れがせきとめられ川が逆流し、川の乾いた地が現れました。イスラエルの民は、急いで、ヨルダン川の乾いた地を渡ってカナンの地に上陸することができたのです。

(2)エリコの城壁を崩すイスラエルの民(ヨシュア記6章)

神様はエリコの城壁を崩すのにヨシュアに不思議な作戦を与えました。六日間黙って、城壁の周りを一回まわり、七日目は、7人の祭司たちが角笛を持ち、契約の箱の前を歩き、七度城壁の周りを歩きます。そして、七度目に祭司たちが角笛を吹き、その音を聞いたなら、大声で、ときの声をあげなさい。すると城壁が崩れるので、すぐにその町を占領しなさいという命令でした。ヨシュアとイスラエルの民は神様の約束を信じて、その通り行いました。すると、神様の約束通り城壁は崩れ、簡単にエリコの町を征服することができたのです。

神様はアブラハムにカナンの地を与えると約束して下さいました。神様は約束通り、イスラエルの民にカナンの地を与えてくださいました。また、それは、イスラエルの民の力や努力で勝ち取ったわけではなく、神様がアブラハムを通してイスラエルの民に約束して下さったからです。また、神様はヨシュアとの約束も守って下さいました。モーセと共にヨシュアと共に神様がおられたので、ヨルダン川を渡り、エリコの城壁を崩すことができたのです。神様はモーセやヨシュアだけではなく、イエス様を神の子と信じる者と共におられると約束して下さいました。私たちはこの世にあって苦しみや試練に遭います。しかし、神様は私たちに「神様は負いきれない重荷を与えられない」「試練と共に脱出の道を備えてくださる」「神が共におられ私たちを捨てることはない」と約束して下さいました。私たちは、これらの約束を信じる時、苦しみや試練を乗り越え、また、試練に耐えることができるのです。