「ノアの家族と虹の契約」

「ノアの家族と虹の契約」  創世記6章5節~18節

  神様は六日間で天地全ての物を創造され、また、その創造の最後に人間を創造されました。また、神様は地上を管理する者とするために、人をご自身に似せて創造されました。しかし、最初に創造されたアダムとエバは悪魔に誘惑され、神様の戒めを退け、罪を犯してしまいました。そして、神様は罪を犯した二人をエデンの園から追い出されました。

  その後、神様は二人に二人の息子を与えられました。兄のカインと弟のアベルです。兄のカインは土地を耕すものとなり、弟のアベルは羊を飼う者となりました。二人はある時期に、それぞれの働きの中から神様へのささげ物を持ってきました。しかし、神様は、アベルのささげ物には目を留められましたが、カインのささげ物には目を留められませんでした。カインは怒りをもってアベルを野に呼び出し殺してしまいました。神様は弟を殺したカインをさらに退け、カインは野をさまよい歩く者となり、エデンの東ノデの地に住み着きました。そして、カインの子孫は神様とは関係のない社会を作り上げました。神様は二人の息子を失ったアダムとエバにもう一人の子を与えられました。二人はその子にセツという名を付けました。セツの子孫によって人々は主の御名によって祈ることを始めたとあります。人は神との親しい関係を祈りによって回復したのです。

  しかし、創世記の6章において、神の子ら(セツの子孫)と人の娘(カインの子孫)が混じり合い、地上に悪が増大し、神は人を造られたことを悔やまれたとあります。そこで、神はこの地上を洪水で滅ぼされることをお決めになられました。しかし、ノアだけは、神様の御心に叶い、ノアとその家族が助かるように箱船を作るように命じられたのです。その大きさは、長さ三百キュビト(140メートル)幅五十キュビト(23メートル)高さ三十キビト(14メートル)今の船に換算すると四万三千トンの大きさの船になります。また、神様は洪水の後のために、あらゆる種類の動物を乗り込ませました。今でこそ、色々な機械があります。しかし、当時の状況を考えると完成までに、かなりの年数がかかったのではないかと思われます。また、それをノアの家族8人だけで作り始めたのです。船が完成し、動物たちが船の中に入り、ノアの家族たちも船の中に入ると、神様がその入り口を絞められ、洪水が起こり始めました。地上は洪水によっておおわれ、ノアの家族以外は滅ぼされてしまいました。それから約一年、ノアの家族と動物は箱舟の中で暮らしました。そして、地上から水が引いて、地面が乾くとノアの家族は箱舟から外に出て、祭壇を築き、全焼のいけにえをささげました。神様はそのなだめのかおりをかがれ、二度と地上を洪水で滅ぼさないと誓われました。そして、神様は地上の生き物と契約を結ばれました。創世記9章13章~16節「わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。わたしは、わたしとあなたがたとの間、およびすべての肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い出すから、大水は、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水とは決してならない。虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべての肉なるものとの間の永遠の契約を思い出そう。」これを虹の契約と呼びます。しかし、これは神が地上を滅ぼさないという契約ではありません。ペテロの手紙第二3章9節10節「主は、ある人たちがおそいと思っているように、その約束のことを送らせておられるのではありません。かえって、あなたがたに対して忍耐深くあられるのであって、ひとりでも滅びることを望まず、すべての人が悔い改めに進むことを望んでおられるのです。しかし、主の日は、盗人のようにやって来ます。その日には、天は大きな響きをたてて消えうせ、天の万象は焼けてくずれ去り、地と地のいろいろなわざは焼き尽くされます。」とあります。最後の審判の時、地は火によって滅ぼされます。また、その日はノアの日のようだとイエス様は言われました。マタイの福音書24章37節~39節「人の子(再臨のイエス様)が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。洪水の前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです。」これはイエス様が世の終わりが突然に起こることを説明された個所ですが、実は、ノアの洪水は突然起こったわけではありません。ノアの家族が何年かけて箱舟を完成させたかはわかりませんが、かなりの年数がかかったはずです。また、ノアの家族は隠れて箱舟を作ったわけではありません。森の中で木を切り倒して船を完成させたのです。人々はノアの家族が山の上で船を作っているのを見ていたはずです。それでも、彼らは山を覆うほどの洪水が起きるなど信じることができなかったので、誰も、ノアの造った箱舟に入らなかったのです。神様は滅びと共に、ノアを通して人々に警告を与えておられたのです。しかし、人々は、それを信じなかった(受け入れなかった)ので、ノアの家族以外は滅んでしまったのです。ノアの洪水のお話は現代の私たちへの警告です。イエス様は世の終わりが必ず来ると弟子たちに教えました。私たちは今、聖書を通して神様からの警告を受けています。ノアの時代は、箱舟に入ることによる救いでした。今、私たちに与えられている約束の言葉は、イエス様を神の子と信じる信仰によって救われるという約束です。ノアは家族を救うために何年もかけて箱舟を完成させました。今は、神の子イエス様が、十字架にかかり、死なれることによって新しい救いの道が完成されたのです。

 最後に、ノアの晩年、ノアは子どもたちの前に恥ずかしい姿を現してしまいました。ぶどう酒を飲み酔っぱらって裸で寝てしまったのです。それを発見したハムは、わざわざ、父の恥ずかしい姿を見せるために兄弟のセムとヤペテを呼び寄せました。しかし、セムとヤペテは父の裸を見ないように後ろ向きに進み父の裸を見ないようにして、洋服をかけたとあります。それを知ったノアは、ハムの子カナンをのろいました。これは、預言的な意味があると説明されます。父の裸を見せるために兄弟を呼び寄せたのはハムですが、その性質が、カナンに受け継がれ、カナンの子孫は神に呪われた種族となるという預言のことばです。そして、出エジプトの時に、神様はモーセを通して、偶像礼拝とみだらな習慣を持つ、カナンの民族を滅ぼすように命じられたのです。そして、この時、ノアは、セムを祝福しました。このセム族からアブラハムは誕生し、イスラエルの民が生まれたのです。ノアの洪水の後、人々はまた、神様から離れ、悪が増大しました。(バベルの塔のお話)神様はもう一度、神と人との関係を回復するためにアブラハムを選び、彼に親族から離れ、私の示す地へ行くように命令されたのです。