イエス・キリストが宣教の働きをする前に悪魔の誘惑を受けられたことが、マタイの福音書4章に記されています。この時、イエス・キリストは40日断食をして空腹でした。悪魔は空腹のイエス・キリストに「あなたが神の子なら、これらの石がパンになるように命じなさい。」と言いました。悪魔の目的は、イエスに自分のために(自分の必要のために)神の力を使わせることでした。イエス・キリストは石をパンに変える力を持っていましたが、あえてその力を使わず、このように言われました。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きる』と書いてある。」イエス・キリストは旧約聖書の申命記8章3節のことばを引用されました。これは、人は食べるため(体を養うために)生きているのではなく、神のことばに従って生きることが本当の人生であることを教えたことばです。
マタイの福音書を書いたマタイという人は、取税人という仕事をしていました。当時の取税人はローマ政府のためにユダヤ人から税金を集める仕事をしていました。それゆえ、ユダヤ人は取税人を犯罪者のように扱い、親しく交わろうとはしませんでした。また、取税人はユダヤ人から不正に税金を高く集めて懐に入れ、私腹を肥やしていました。イエス・キリストは収税所に座っているマタイに自分について来なさいと彼に弟子になるように招きました。マタイはすぐに立ち上がりイエスについて行ったとあります。取税人はお金を儲けるためには最適な仕事でした。しかし、マタイはその仕事に生きがいを感じていたのでしょうか。お金はもうかるが、ユダヤ人でありながらユダヤ人として認められない生活。マタイはイエス・キリストと会い、自分のためではなく、イエス・キリストのように人に喜ばれる生き方、新しい生き方を求めたのではないでしょうか。私も教会に来て、人は自分の力で生きているのではなく、神に生かされていることを知りました。神は遠くにいて私たちを眺めている神ではありません。私たちが望むなら、共に歩んでくださる神です。私たちは神の計画を知り、御ことばに従って生きる時、本当の人生、神に祝福された人生を歩むことが出来るのです。