ハートフル・メッセージ25:別れと新たな出会い

  3月は卒業のシーズンです。今まで慣れ親しんだ学校や先生、友人と別れて、新しい環境に向かう時です。誰しも新しい環境に向かう時は大きなストレスと不安を感じます。人によってはそれにより、不登校や体の不調を感じる人もいます。

 新約聖書の中には、イエス様と色々な人々との出会いが描かれています。マタイの福音書を書いたマタイは取税人という仕事をしていました。当時、ユダヤの国はローマと言う大きな国に支配されていました。そのため、ユダヤ人たちはローマ政府に税金を納めなければなりませんでした。しかし、ユダヤ人はプライドが高く、たびたび反乱を起こしていました。そこで、ローマ政府が考えたことは、ユダヤ人を雇い、ユダヤ人に税金を集めさせ、ローマ政府に納めさせるという方法でした。ユダヤ人たちは、ユダヤ人でありながらローマ政府のためにユダヤ人から税金を集める取税人を嫌いました。また、取税人は税金を不正に取り立て、自分のふところに入れ、お金儲けをしていました。それゆえ、ユダヤ人たちは益々、取税人を嫌いました。ユダヤ人たちは取税人と道で会っても挨拶をせず、また、家に招いたり、共に食事をすることもありませんでした。マタイは、そのような孤独な日々を過ごしていたのです。

 マタイが収税所に座って、仕事をしている時、イエス・キリストが通りかかり、マタイに声をかけました。「わたしについて来なさい。」すると彼は立ち上がってイエスに従ったとあります。マタイは取税人という仕事を捨てて、イエス・キリストの弟子となったのです。マタイはどうして、取税人と言うお金が儲かる仕事を捨てて、イエス・キリストの弟子となることを決めたのでしょうか。マタイは、お金は儲かるが、人々から嫌われる取税人という仕事に疑問を感じていたのではないでしょうか。お金儲けが人生の目的であるならば、マタイは取税人と言う仕事を捨てることはなかったでしょう。マタイは自分の仕事に疑問を感じ、新しい人生について模索していたのかもしれません。そんな時に、マタイはイエス・キリストと出会い、新しい人生に踏み出す勇気を得たのではないでしょうか。

 良い出会いは、人生を変え、人を成長させます。自分の人生について考えている人、神様についてもっとお知りになりたい方はぜひ、教会にお越しください。教会は、いつでも、どなたでも歓迎いたします。

牧師 久富昭彦