2025年11月号
日本には、それぞれ村や町に特有の祭りがあります。祭りには普通その祭りを守る起源や由来(出来事)があります。ユダヤ教では三大祭りの一つ「過越しの祭り」が有名です。過越しの祭りは、旧約聖書の出エジプト記12章の出来事が祭りの起源となっています。
ヤコブの家族がエジプトに移住し、へブル人と呼ばれエジプトの中でその人口が増えていきました。エジプトの王はへブル人の人口が増えるのを怖れ、彼らを激しい労働で苦しめました。しかし、それでも人口の増大は抑えられませんでした。そこで、エジプトの王は、男の子が生まれたらナイル川に投げ込み殺さなければならないと命令を出しました。そんな迫害の時代に生まれたのがモーセです。モーセはへブル人として生まれましたが、エジプトの王の娘に拾われて、王宮で育てられました。モーセが40歳の時、へブル人を助けるためにエジプト人を殺してしまいました。モーセはそれが王にばれるのを怖れ、荒野へと身を隠しました。80歳になったモーセに神が現われ、へブル人をエジプトの苦しみから助け出すように命じました。モーセはエジプトに向かい、エジプトの王にへブル人がエジプトを出るように交渉しました。しかし、王は聞き入れませんでした。そこでモーセはエジプト中に10の災害を与えました。その10番目の災害が、エジプト中の初子(最初に生まれた男の子)を殺すという神の裁きでした。しかし、神はへブル人に一つの約束を与えました。それが、羊を殺しその血を門と鴨居に塗るようにとの命令です。神はその血を見て、その家を通り越すと約束されました。へブル人はその約束を守り助けられました。しかし、エジプトの王をはじめ多くの初子が死にエジプトが悲しみに包まれました。王は悲しみの中、へブル人がエジプトを出ることを許可したのです。神はこの事を記念の祭りとして永遠に守るように命じました。それが過越しの祭りです。
イエス・キリストが十字架に付けられ殺されたのが、過越しの祭りの時でした。神は私たちを罪の刑罰から救うために、羊ではなく、神の子のいのちを奪い、血を流すことによって、私たちの罪を赦し、救いの計画を完成されました。「過越しの祭り」はエジプトでの神の裁きからの救いでした。今、神はイエスキリストの死を通して新しい救いの計画を完成されました。それが、イエス・キリストの死と復活です。私たちはイエス・キリストを神の子と信じる信仰によって、罪赦された者となり、天国に招かれる者となったのです。