「カインの子孫とセツの子孫」　創世記４章１６節~２６節

創世記の1章を通して、神様は特別な愛をもって人間を創造してくださったことを学びました。神様はこの地上を人間に管理させるために、人をご自身に似せて創造されました。それは、神と人が親しく交わることができる特権でした。しかし、人間は悪魔に誘惑され、罪を犯し、神様からの特権（親しく神様と交わること）を失ってしまいました。神様は罪を犯した二人をエデンの園から追い出されました。

創世記の4章から、エデンの園から追い出された人間の歴史が始まりました。神様はアダムとエバに二人の子どもを与えられました。兄がカイン、弟がアベルです。兄のカインは土を耕す者となり、弟アベルは羊を飼う者となりました。しばらくして二人はそれぞれの働きの中から神様へのささげ物を持ってきました。3節「カインは大地の実りを主へのささげ物として持ってきた。」とあります。4節「アベルもまた、自分の羊の初子の中から、肥えたものを持ってきた。」とあります。4節5節「主はアベルのささげ物に目を留められた。しかし、カインとそのささげ物には目を留められなかった。」とあります。神様はなぜ、アベルのささげ物に目を留められ、カインのささげ物に目を留められなかったのでしょうか。聖書にはその理由は記されていません。しかし、想像するなら、神様はささげた人の心を見られると言うことではないでしょうか。アベルは神様に良いものを選んでささげました。はたして、カインにはアベルのような感謝の気持ちがあったのでしょうか。神様は激しく怒るカインに忠告しています。7節「もしあなたが良いことをしているのなら、受け入れられる。しかし、もし良いことをしていないのであれば、戸口で罪が待ち伏せている。罪はあなたを恋い慕うが、あなたはそれを治めなければならない。」カインは自分の間違いに気づき、良い穀物を選んで、ささげ物をささげ直せばよかったのです。しかし、カインはこの怒りを治めることができずに、アベルを殺してしまいました。

神様は罪を犯したカインに尋ねました。9節「あなたの弟アベルは、どこにいるのか。」神様は罪を犯したカインに悔い改めのチャンスを与えられました。しかし、カインの答えは、「私は知りません。私は弟の番人なのでしょうか。」カインは自分の罪を認めて悔い改めることを拒否しました。神様はカインに言われました。11節12節「今や、あなたはのろわれている。そして、口を開けてあなたの手から弟の血を受けた大地から、あなたは追い出される。あなたが耕しても、大地はもはや、あなたのために作物を生じさせない。あなたは地上をさまよい歩くさすらい人となる。」神様にのろいを宣告されたカインは神様に助けを求めて叫びました。13節14節「私の咎は大きすぎて、負いきれません。あなたが、今日、私を大地の面から追い出されたので、私はあなたの御顔を避けて隠れ、地上をさまよい歩くさすらい人となります。私を見つけた人は、だれでも私を殺すでしょう。」そこで、神様はカインに言われました。15節「それゆえ、わたしは言う。だれであれ、カインを殺す者は七倍の復讐を受ける。主は、彼を見つけた人が、だれでも彼を撃ち殺すことがないように、カインに一つのしるしをつけられた。」カインはさらに遠く神様から退けられてしまいました。17節から24節のことばは、神様から退けられたカインの子孫たちの姿を記しています。カインの子孫たちは、まったく神様との関係を断ち、自らの欲望を満たす社会を形成していきました。

神様は、カインとアベルという二人の息子を失った、アダムとエバにもう一人の男の子を与えられました。25節「アダムは再び妻を知った。彼女は男の子を産み、その子をセツと名づけた。」とあります。26節「セツにもまた、男の子が生まれた。セツは彼の名をエノシュと呼んだ。そのころ、人々は主の名を呼ぶことを始めた。」とあります。カインの子孫が神様から完全に離れてしまったので、神様はアダムとエバにもう一人の男の子を与えられました。そして、セツの子孫によって人々はもう一度、主の名を呼ぶ人々を起こされたのです。ところが、6章においてセツの子孫（神の子ら）とカインの子孫（人の娘たち）が交じり合い、悪が増大してしまいました。6節「それで主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。」とあります。

ノアの時代の洪水は、人間の罪の結果でした。神様は、すべての創造の業を消し去り、すべての創造の業をやり直そうとされたのです。しかし、ここで神様はノアに目を留められました。8節「しかし、ノアは主の心にかなっていた。」とあります。神様はノアの家族を通してもう一度、創造の御業をやり直そうとされたのです。そこで、神様はノアに大きな箱舟を作るように命じられました。ノアの家族8人は力を合わせて箱舟を作り始めました。ノアの家族が箱舟を完成させると、神は大雨を降らせ洪水のよって地上の全てのものを葬られました。神様はノアの箱舟に入ったノアの家族と動物たちによって、地上をもう一度初めからやり直しをされたのです。箱舟を出た、ノアは、祭壇を築き、全焼のいけにえをささげたとあります。しかし、ノアの子孫たちも神様から離れてしまいました。ノアの子どもたちは、セム、ハム、ヤペテです。このセムの子孫からアブラハムが生まれました。神様はこのセムの子孫アブラハムを選び特別な契約を結ばれました。この後、聖書の中心はアブラハムの子孫たちの話へと発展していきます。ここまでが、創世記の前半になります。また、アブラハムの家族のお話が後半へと続きます。

神様は人間を祝福するために創造してくださいましたが、私たちの先祖、アダムとエバは罪を犯し、この神様からの特権を失ってしまいエデンの園から追い出されてしまいました。また、カインは弟アベルを嫉妬し殺してしまいました。カインはさらに遠く神様から退けられてしまいました。そして、カインの子孫は自分たちの欲望を満たす社会を作り上げてしまいました。神様は二人の息子を失ったアダムとエバにもう一人の男の子セツを与えられました。また、セツの子孫は神の名を呼ぶ種族となりました。ところが、カインの子孫とセツの子孫が交じり合い、悪が増大し、神様は洪水で地上を滅ぼすことを決心されましたが、ノアだけは神様の心にかない、神様はノアに箱舟を作るように命じられました。ノアの家族は箱舟で助けられ、洪水の後、ノアの家族から地上に人々が増え始めましたが、ノアの子孫も神様から離れてしまいました。そこで、神様はアブラハムを選び、彼と特別な契約を結び、アブラハムの子孫によって、もう一度、神様と人間との親しい関係を取り戻そうとされたのです。神様は、カインの子孫が完全に神様から離れてしまったがゆえに、アダムとエバにセツという男の子を与えられました。セツの子孫によって、新しく神様と人間との関係が結ばれるようになりましたが、セツの子孫とカインの子孫が交じり合い、悪が増大してしまいました。今の日本は神様の目に同じように見えているのかもしれません。信仰の継承が難しいと言われています。しかし、信仰は強制することはできません。本人が神様を必要としなければ、神様を見出すことはできません。詩篇119篇71節「苦しみの会ったことは、私にとってしあわせでした。私はそれであなたのおきてを学びました。」とあります。苦しみに会うことは喜ばしいことではありませんが、時として神様は試練や苦しみを通してご自身を現わされることがあります。私たちはただ、神様に祈るだけです。使徒の働き16章31節「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます。」とあります。私たちの信仰の強さではなく、神様の恵みによって多くの人々が救われることを祈ります。