「イエスの昇天とイエスの復活の証人」使徒の働き1章3節~11節
イエスの生涯の学びの最後「イエスの昇天とイエスの復活の証人」について学びます。前回は「イエスの復活と私たちの復活」について学びました。イエスの復活と私たちの復活は結びついており、イエスの復活は私たちの復活の「初穂」であること。また、イエスが死より復活されたように、私たちもイエスが復活されたと同じ体で復活することが約束されていることを学びました。
1、イエスの昇天
イエスが天に昇って行かれたことを「昇天」と言います。また、私たちが天に召されることを「召天」と言います。その違いは、イエスは復活して天に昇って行かれましたが、私たちは神によって天に召されて天に招かれるので「召天」という漢字を使います。
私は説教で、イエス・キリストは死より三日目に復活して天に昇って行かれたと言いますが、実は、イエスは三日目に復活してすぐに天に昇って行かれたわけではありません。使徒の働きにも記されているように、使徒の働き1章3節「イエスは苦しみを受けた後、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。四十日にわたって彼らに現れ、神の国のことを語られた。」とあります。また、パウロはコリントの教会に宛てた手紙にこのように伝えています。コリント人への第一の手紙15章3節~6節「私があなたがたに最も大切なこととして伝えたのは、私も受けたことであって、次のことです。キリストは、聖書に書いてある通りに、私たちの罪のために死なれたこと、また、葬られたこと、また、聖書に書いてあるとおりに、三日目によみがえられたこと、また、ケファ(ペテロ)に現れ、それから十二弟子に現れたことです。その後、キリストは五百人以上の兄弟たちに同時に現れました。その中にはすでに眠った人も何人かいますが、大多数は今もなお生き残っています。」それゆえ、イエスの復活の証人は十二使徒だけではなく、この四十日の間に多くの人々が復活したイエスと出会ったということです。
2、イエスの復活の証人
では、なぜイエスは四十日間も多くの人々に、ご自身の復活された姿を見せられたのでしょうか。それは、彼らに神の国のことを教え、彼らが聖霊を受けてイエスの復活の証人となるためです。イエスは彼らにこのように言われました。4節5節「使徒たちと一緒にいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。『エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。ヨハネは水でバプテスマを授けましたが、あなたがたは間もなく、聖霊によるバプテスマを授けられるからです。』」ここでイエスが弟子たちに言われた「父の約束」と「聖霊によるバプテスマ」は同じことを表しています。それは、使徒の働き2章で五旬節(ペンテコステ)の日に聖霊が弟子たちに下ることを表していたのです。
弟子たちは復活されたイエスを見ても、旧約聖書の時代から引き継がれたユダヤ人の思想から解放されることはありませんでした。それゆえ、彼らは復活したイエスに次のように質問しています。6節「そこで使徒たちは、一緒に集まったとき、イエスに尋ねた。『主よ。イスラエルのために国を再興してくださるのは、この時なのですか。』」弟子たちはローマの支配から独立し、自分たちの国を取り戻すことを願ってイエスに尋ねたのです。イエスはこのように答えられました。7節「イエスは彼らに言われた。『いつとか、どんな時とかいうことは、あなたがたの知るところではありません。それは、父がご自分の権威をもって定めておられることです。』」イエスが言われた「時」といいうのは、ユダヤの国を再建する時というより、父なる神が定めた終わりの時のことです。イエスが弟子たちに伝えたことは、世の終わりの時は父なる神が定めておられるので、あなたがたは心配しないでもよい。それよりも、あなたがたがなすべきことは、8節「しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤ、とサマリアの全土、さらに地の果てにまで、わたしの証人となります。」と言われました。イエスが弟子たちに望まれたことは、聖霊を受けてイエスの復活の証人となることでした。
マルコの福音書16章15章で、イエスが天に昇られるとき、弟子たちに言われました。
15節「それから、イエスは彼らに言われた。『全世界に出て行き、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい。』」このことばは、イエスが弟子たちに、また、私たちに命じられた「大宣教命令」と言われることばです。イエスが弟子たちに求められたのは、「福音を宣べ伝えなさい」ということです。また、「イエスの復活の証人」となることは、自分が体験したことを伝えなさいということです。私たちの使命はイエスのことを伝えることであって、人を救う事ではありません。人を救うのは神の業です。私たちは、イエスを神の子と信じさせよと努力しますが、実は、人がイエスを救い主と信じるのは人間の知恵や努力ではなく神の働きです。私たちに求められるのは、イエスのことを伝えることです。時として、私たちは人にイエスを信じさせようとして失望してしまうことがあります。私たちはそこまで責任を負う必要はありません。信じる、信じないは神と本人の関係だからです。私たちに人を救う力はありません。イエスが言われた、聖霊が臨み力を受けるとは、イエスのことを宣べ伝える力のことです。私たちがすてきなレストランに行き、おいしい食事を食べたら、このことをだれかに伝えたいとは思わないでしょうか。イエスを伝えることも同じことです。私たちがイエスと出会いどれほど大きな喜びを感じたかを伝えることです。以前は希望の無い人生でした。しかし、イエスとの出会いによって希望のある人生に変えられた。自分の罪が赦され天に招かれる希望が与えられた。神の存在に気が付かなかったが、神が自分のことを知り、愛しておられることを知った。そのような喜びを伝えることです。教会にはたくさんの素晴らしい恵みがあります。そのことを伝えるのが伝道です。今年のクリスマスは、12月7日がこどもクリスマス会。12月20日(土)キャンドルサービス。12月21日(日)がクリスマス礼拝です。ぜひ、愛する家族や友人に、イエスの誕生の素晴らしさを宣べ伝えたいと思います。