教会暦(降誕の時節)

教会暦(きょうかいれき/Church Year) はキリスト教で用いられている暦で、ルーテル教会では教会暦に従って毎週の礼拝を行ております。

教会暦は最初から完成していたものでは無く、歴史的に発展して形成されました。教会暦の発端は復活祭です。神の子イエス・キリストが十字架に掛けられて死に、お墓に葬られた時、弟子たちは誰一人復活するとは思っていませんでした。ところが預言通り三日目の日曜日の夜明け前に復活されたのです。この御復活に、弟子たちはまず驚き、次に喜びが爆発し、その喜びが沈静化せず、復活された日曜日を毎週お祝いすることが始まったのです。イエス・キリストの復活された日が、ユダヤ教の過ぎ越しの祭りの次の日でした。月の満ち欠けを基準とする太陰暦の過ぎ越しの祭りを太陽暦に換算して、春分の日の次の満月の次の日曜日を復活祭とすることになりました。ですから復活祭を基準とする四旬節や聖霊降臨祭などの日付が年によって移動するのです。一方、全聖徒主日や待降節やクリスマスなどの日付の移動しない祝日もあります。

教会暦は「降誕の時節」「復活の時節」「教会の時節」の3つに分かれています。日曜日は主日(しゅじつ)と呼び、主のご復活をお祝いする小祝日です。

 



1. 降誕の時節 The Time of Christmas

待降節(たいこうせつ)/Advent Season

待降節(たいこうせつ/Advent アドベント) 典礼色:紫/青

教会暦は待降節(アドベント)から始まります。待降節は、12月25日の降誕日(クリスマス)の4週間前の日曜日から始まり、降誕日前日まで続きます。 アドベントの意味は「到来」で、救い主の到来を待ち望む準備の4週間です。最初の日曜日は私たちに、キリストが人々の間にご臨在されることによって人々を救うために来られたことを思い起こさせ、生活の全てをキリストに頼ることの大切さを教えます。ですから、待降節の色は紫/青で、悔い改めを示しています。

クリスマス/Christmas Season

私たちの主キリストの降誕(わたしたちのしゅキリストのこうたん/The Nativity of Our Lord)・降誕節 
典礼色:白

12月24日夜のクリスマス・イブから1月6日の顕現日(けんげんび)の前日までは降誕節になります。
神の御子、救い主イエス・キリストは預言通り、ユダヤのベツレヘムで処女マリアからお生まれになりました。「クリスマス」という言葉は、「救い主」を意味する「キリスト」と、「祭り」意味する「マス」が合体した言葉で、クリスマスはキリストの誕生を記念し、祝う祭りです。

クリスマスに飾られるクリスマスツリーの起源は、中世の宗教改革者マルチン・ルター博士(1483-1546)だと言われています。博士は礼拝の帰りに常緑樹の間から見える星空の美しさを自分の子供にも見せたい、と言う気持ちから、小さなモミの木を家の中に持ち込み、木が燃えないよう枝の先端に星の光をイメージした小さなろうそくを灯したのが始まりだそうです。

クリスマス・イブ(Christmas Eve) 典礼色:白

12月24日の夜はクリスマス・イブと呼ばれています。イブはevening(晩)のことで、教会暦の一日は日没から始まり日没に終わるため、クリスマスは24日の日没から25日の日没までとなり、クリスマス・イブはクリスマス当日の夜のことです。キリスト教会ではイエス・キリストはこの夜にお生まれになられたとして、クリスマス・イブをお祝いします。

クリスマス(Christmas Day)・キリスト降誕祭(こうたんさい) 典礼色:白

12月25日はクリスマスです。イエス・キリストの誕生日は特定されていませんが、紀元前6年または5年にユダヤのベツレヘムでお生まれになったことははっきりしています。 イエス・キリストの誕生の700年前に預言者ミカはこの様に預言しています。「ベツレヘム・エフラテよ。あなたはユダの氏族の中で最も小さいものだが、あなたのうちから、わたしのために、イスラエルの支配者になる者が出る。その出ることは、昔から、永遠の昔からの定めである。」(ミカ書5章2節) この聖書の預言通りに救い主はベツレヘムで誕生されました。

主の割礼と命名日(しゅのかつれいとめいめいび/Circumcision and Name of Jesus)・元旦礼拝 典礼色:白

1月1日は主の命名日です。イエス・キリストは、律法に従って、生まれて八日目に割礼を受けられ、天使ガブリエルが母マリアに告げた通り、「イエス(意味:主は救い)」と命名されました。

顕現節(けんげんせつ)/Epiphany Season

私たちの主の顕現(わたしたちのしゅのけんげん/The Epiphany of Our Lord) 典礼色:白

1月6日の顕現日はキリスト教の祝日の一つです。顕現日は、東方の博士たちがクリスマスに誕生された救い主キリストを礼拝に来たことに由来し、人となられた神様が自ら御自分を全世界の人々の前に顕(あきら)かに現された日です。

キリスト教会が1月6日の顕現日を祝日と定めている理由は、かつてこの1月6日がギリシャ正教会やロシヤ正教会などの東方教会のクリスマスであった歴史的な事実によります。一方ローマ・カトリックを中心とした西方教会のクリスマスは私たちが祝っている12月25日です。それで西方教会と東方教会は古い昔、クリスマスの日を統一しようと協議したのですが、神学的理解が異なるために統一できず、結局12月25日から1月6日までの間をクリスマスとして祝うことになりました。

私たちの主の洗礼(わたしたちのしゅのせんれい/The Baptism of Our Lord) ・顕現後第1主日 典礼色:白

「私たちの主の顕現」の次の日曜日は「私たちの主の洗礼」主日です。イエス・キリストはヨルダン川で、洗礼者ヨハネから洗礼を授けられて、救い主の任務に就任されました。これ以降、洗礼を受ける人の罪は、全てイエス様のもとに移され、洗礼を受けた人には永遠の命を与えられ、聖霊がその上に留まるようになりました。

顕現後主日(けんげんごしゅじつ/Sunday after the Epiphany) 典礼色:緑

「私たちの主の洗礼」以降、「私たちの主の変容」までの日曜日は、顕現後主日と呼ばれます。

マリアの清めと私たちの主の奉献(マリアのきよめとわたしたちのしゅのほうけん/The Purification of Mary and the Presentation of Our Lord) 典礼色:白

2月2日は「マリアの清めと私たちの主の奉献」日です。2月2日は12月25日にイエス・キリストが生まれたクリスマスから数えてちょうど40日目に当たり、イエスの両親は、母マリアの出産の清めと初子の男子の奉献のためにエルサレム神殿を訪れ、律法であるレビ記12章の規定に従って、生贄(いけにえ)を捧げました。神殿では主のキリスト(救い主)の到来を待ち望んでいた、聖霊に満たされた老人シメオンと老女の預言者アンナが、幼子イエスを祝福し、イエスの将来について預言しました。このシメオンの言葉は「シメオンの讃歌」として礼拝式文の中で歌われています。

私たちの主の変容(わたしたちのしゅのへんよう/The Transfiguration of Our Lord)・顕現後最終主日 典礼色:白

顕現後最終主日は、私たちの主の変容を記念する日となります。イエス・キリストは公生涯3年目の夏頃に、3人の弟子、ペテロ、ヤコブ、ヨハネだけを高い山に引き上げられ、彼らの目の前で、御顔が太陽のように輝き、衣が光のように白く輝く、神としてのご自分の姿を現されました。イエス・キリストが変容されたのは、3年間の公生涯において、この日だけで、この半年後の春に十字架に掛かられました。

復活の時季 The Time of Easter

教会の時季 The Time of the Church