ペテロの生涯(9)役割

使徒の働き10章1節~48節

ペテロの生涯を通して神の働きを見て来ました。今日は最後9回目ペテロに与えられた役割について考えます。神は天地すべての創造を六日間で完成されました。神は人間を六日目に創造されましたが、ご自身に似せて創造されたとあります。神に似せてとは、外見が似ていると言うことではなく、神と人格的な交わりができる者として(コミュニケーションができる存在として)ご自身に似せて創造されたということです。その目的はこの地上を神に代わって支配するため(管理するため)でした。しかし、最初の人アダムとエバは神の約束を破り、罪を犯し(神との親しい関係を失い)エデンの園から追い出されてしまいました。旧約聖書の歴史は、この関係を回復するための神と人間の歴史です。そして、イエス・キリストは私たちを罪から救うために人として生まれ、十字架の上でいのちを犠牲にし、死より復活して天に昇って行かれました。イエス・キリストの誕生の役割は、私たちを罪から贖いだすことでした。(罪から救うことでした。)

このように神は私たちにいのちを与えると共に。私たちにふさわしい役割をも備えてくださいました。ペテロの最初の名はシモンでした。イエスは彼と出会い、彼にペテロ「岩」と言う意味の名を彼に与えました。しかし、イエスの弟子としての前半(イエスが天に召される前)は、決して「岩」と呼ばれるような強い信仰があったわけではありません。今まで、ペテロの人生を学んだように失敗の多い人生でした。しかし、後半、(イエスが天に昇った後)の人生は、聖霊によって強められ使徒の頭として大きな働きをすることができました。まさに「岩」のような強い信仰を持つことができたのです。イエスは前もってペテロがそうなることを知っておられ。ペテロに「岩」という名を与えられたのだと思います。

今日は、ペテロの最後の役割、異邦人の救いについての働きを学びます。異邦人への伝道と言うと、パウロの働きのように考えてしまいますが、神は、パウロが異邦人伝道に出かける前に、ペテロに異邦人の救いを体験させています。使徒の働き10章からその働きを考えますが、この個所を三つに分けて考えます。

1、コルネリウスが見たまぼろし(1節~8節)

コルネリウスはイタリア隊の百人隊長でした。2節「彼は敬虔な人で、家族全員とともに神を恐れ、民に多くの施しをし、いつも神に祈りをささげていた。」とあります。3節「ある日の午後三時ごろ、彼は幻の中で、はっきりと神の御使いを見た。その御使いは彼のところに来て、「コルネリウス」とよびかけた。」とあります。コルネリオスは異邦人でしたがユダヤ教を信じ、施しと祈りの時間を守る敬虔な信仰の持ち主でした。御使いは彼にペテロと呼ばれるシモンを招くように命じました。彼は、自分のしもべの中から二人と、側近の部下のうち敬虔な兵士一人を選び、ペテロを迎えに遣わしました。

2、ペテロの見たまぼろし(9節~23節)

彼らが出かけて翌日、ペテロは昼の十二時ごろ祈るために屋上に上りました。人々が食事の用意をしているうちに、彼は夢心地になったとあります。11節~13節「すると天が開き、大きな敷布のような入れ物が、四隅をつるされて地上に降りてくるのが見えた。その中には、あらゆる四つ足の動物、地を這うもの、空の鳥がいた。そして彼に、『ペテロよ、立ち上がり、屠って食べなさい。』という声が聞こえた。」とあります。ユダヤ教では、明確に食べて良い動物と食べてはいけない動物とに分けられ、律法(旧約聖書)にはっきりと記されています。14節「しかし、ペテロは言った。『主よ、そんなことはできません。私はまだ一度も、きよくない物や汚れた物を食べたことがありません。』」ペテロだけではなく、ユダヤ人のほとんどが、律法に定められた汚れた動物を食べたことがありませんでした。15節「すると、もう一度、声が聞こえた。『神がきよめた物を、あなたがきよくないと言ってはならない。』」16節「このようなことが三回あってから、すぐにその入れ物は天に引き上げられた。」とあります。ペテロが先ほどのことを思い巡らしていると、先ほどの人たちがペテロを尋ねて来ました。19節20節「ペテロは幻について思い巡らしていたが、御使いが彼に言われた。『見なさい。三人の人があなたを尋ねて来ています。さあ、下に降りて行き、ためらわずに彼らと一緒に行きなさい。わたしが彼らを遣わしたのです。』」ペテロは彼らの話を聞いて、翌日、数人を同行して、彼らと共にコルネリオスのところへ向かいました。

3、異邦人に聖霊が下る(24節~48節)

翌日、コルネリオスは親族や親しい友人たちを呼び集めてペテロ達が来るのを待っていました。ペテロがコルネリオスの家に入ると、集まった人々に言いました。28節「ご存じのとおり、ユダヤ人には、外国人と交わったり、外国人を訪問したりすることは許されていません。ところが、神は、私に、どんな人のことも、きよくない者であるとか汚れた者であるとか言ってはならないことを、示してくださいました。」ペテロは先ほどの幻が、食べ物のことではなく、異邦人のことについて神が、きよいとか汚れているとか言ってはならないと言うことを、神が幻でおしえられたと理解したのです。コルネリオスはペテロになぜ、彼を招いたのか、自分の見た幻についてペテロに説明しました。そこで、ペテロは集まった人々に、イエスの十字架の死と復活について語り始めました。(34節~43節)ペテロが話している間に、彼らに聖霊が下り、ペンテコステの日のように、異邦人の人々が異言を語り出し、ペテロと共に来たユダヤ人たちは、異邦人にも聖霊が下ったのを見て驚きました。ペテロはこれを見て驚き、言いました。47節「この人たちが水でバプテスマを受けるのを、だれが妨げることができるでしょうか。私たちと同じように聖霊を受けたのですから。」この後、ペテロは彼らにバプテスマを受けさせたとあります。

4、結論

この出来事がなぜ、重要なのかと言うと、この後、パウロはアンテオケ教会から異邦人伝道に遣わされます。そして、多くの異邦人が救われました。ところが、使徒の働き15章において、ユダヤ人キリスト者たちが、異邦人に「モーセの慣習に従って割礼を受けなければ、あなたがたは救われない」と教え始めたのです。パウロとバルナバは彼らと激しい言い争いとなり、この問題の解決のために、エルサレムに上り、使徒たちや長老たちと話し合いをすることにしました。多くの協議の後、ペテロが立ち上がって、先ほどの異邦人に聖霊が下ったことを報告したのです。(使徒の働き15章7節~11節)そして、次に、パウロとバルナバが第一回伝道旅行の報告をしました。最後に、長老を代表してヤコブが、異邦人に割礼を強制してはならないことを取り決め、そのことを、パウロとバルナバを通して異邦人教会に伝えることが決められたのです。もし、この場面で、ペテロが異邦人の救いについて体験していなければ、パウロだけの働きでは、違った結論が下されたかもしれません、使徒の頭的存在である、ペテロのことばだからこそ、皆が納得して、この結論を下すことができたのです。確かに、異邦人の伝道について、パウロの働きは大きな働きでした。しかし、異邦人の救いについて、ペテロの働きも大きな意味がありました。神はこの問題が起こることを知っておられ、前もって、ペテロに異邦人の救を体験させられたのです。これが、ペテロの最後の役割だったのです。神は、私たちにもふさわしい役割を与えてくださっています。私たちに与えられた役割は何でしょうか。神に与えられた人生、私たちの役割について考えていきたいと思います。