「力強い神の御前に跪きなさい」エステル記8章1~14節 金田洋介牧師
8章は、ハマンが企てたユダヤ人殲滅の法令に対抗するため、モルデカイがユダヤ人に自衛を許す新しい法令を発布した場面が記されています。大逆転の結末を迎えたエステル記。ここに至るまでには、神の鮮やかな伏線があったのです。
Ⅰ.エステルを通して張られた神の伏線(5章)
エステルは法律違反を承知の上で王宮の内庭へとやってきました。違反者は死刑になる可能性もある中で、彼女は王の好意に与り、ユダヤ人救出のチャンスを得ます。ところが、彼女はユダヤ人救出を願わず、ハマンと共に酒宴に招いたのです。この後、一回目の酒宴の席でも願いを告げるチャンスがありながらも彼女は告げず、王たちを再度酒宴へと招いたのです。彼女の本意は著されていませんが、この判断と行動に神が介入されます。
Ⅱ.モルデカイを通して張られた神の伏線(6章)
エステルの態度が気になったのか、「その夜、王は眠ることができなかった」(1節)ので、日々の記録を聞くことにしました。すると、かつて王を暗殺者の手から救ったモルデカイが、未だ褒美を受けていない事を知りました。するとその時、モルデカイ抹殺の許可を求めて王宮にやってきたハマンに、王はモルデカイの功績を讃える備えを命じたのです。王の不眠、モルデカイの手柄の記録、丁度居合わせたハマン、彼らの意思と行動に神が介入されているのです。
そして、全てが一つに繋がる神の時がやってきました。面目丸潰れのハマンは気を取り直し、王妃エステルが主催する酒宴へと臨みます。宴の席で王がエステルの願いを尋ねると、彼女は自分がユダヤ人であり、自分も同族も滅ぼされようとしていること、そしてハマンが首謀者であることを告げたのです。王を激怒させたハマンは、モルデカイを吊るすために自ら立てさせた柱に、彼自身が吊るされるという無残な結末を迎えたのです。
私たちは、私たちの全ての意思と、行動の背後に神が関わっておられることを信じ、神を畏れ、神の御前に跪くものでありたいのです。神はあなたを通して、ご自身の力強い御手を動かし、あなたの想像を遥かに超える、神の御業を見せてくださるでしょう。「神は高ぶる者には敵対し、へりくだった者には恵みを与えられる」のです。ですから、あなたがたは神の力強い御手の下にへりくだりなさい。神は、ちょうど良い時に、あなたがたを高く上げてくださいます。