「ヤコブの格闘~私はあなたを去らせません~」創世記32章21~32節
①ヤコブの帰郷
故郷から離れて20年の歳月が流れました。伯父のラバンの元に無一文でやって来たヤコブも、今や4人の妻、11人の息子たちを持ち、多くの家畜を持つようになりました。ある時、神様はカナンの地においてヤコブを祝福するとの約束を実現するため、故郷に帰るよう命じます(31章3節)。ところがヤコブには大きな悩みがありました。それは兄エサウとの確執です。20年経った今も、この問題は解決されていなかったのです。
②ヤコブの恐れ
ヤコブは自分だけでなく、家族までも殺されてしまうのでは?と恐れていました。さらにエサウが400人も連れて来ていることを知ります(6~8節)。ヤコブは宿営を2つに分けて被害を最小限に抑えようと試み、そして、神様の助けを祈ります。しかし、それでも不安が解消されないヤコブは、エサウへの贈り物を大量に用意して兄をなだめる作戦を立てます。
③ヤコブの格闘
いよいよ、兄との再会の時が迫ってきました。ヤコブは家族と所有物を先に行かせ、自分一人で残って静まります。するとその夜、ヤコブは神様と一晩中、格闘します。格闘の末、神様はヤコブに「あなたの勝ちだ」と言われました。これは、私たちが考える勝ち負けとは意味が違います。そして、この格闘は、「神様に祈る」ということが、どういうことなのか、私たちに教えているのです。
④神様との人格的交わり
神様はヤコブに「あなたは神と、人と戦って、勝った」と言われましたが、何が彼にとっての勝利なのでしょうか。ヤコブは神様が去ろうとした時、「私を祝福してください。」と求めました。これは神様の祝福の回復を求めているのです。ヤコブの自己中心な生き方が兄との諍いを生み、神様のご計画をも妨げる結果となったことを、彼は神様との格闘を通して気付かされたのでした。ヤコブはこの格闘(神様との人格的な交わり)を経て変えられました。つまり、自分の事しか考えず、ただ恐れているだけの弱さを乗り越えたのです。ここでの勝利とは、神様と格闘を通して、ヤコブが自己中心の自分、罪深い自分に勝利したということなのです。
彼の姿から、神様との人格的な祈りの型を見ることができます。私たちは、祈りを通して神様と人格的な交わりができるのです。それは単に願いを求め、その結果だけを重要視するような浅い交わりではありません。神様と私たちが祈りで人格的な交わり(格闘)をすることによって、本当の自分が取り扱われ、整えられて行くのです。祈りの結果も大切ですが、そこに至るまでのプロセスが大切なのです。ヤコブと格闘された神様は、あなたと人格的な交わり(格闘)をしたいと願っておられます。神様に心を開き、ありのままの自分をぶつけてみませんか。