■ジョン・ベイリー著/新見宏訳
■日本基督教団出版局
■B6版・152ページ
以前ブルームハルトの「ゆうべの祈り」をご紹介しました。この手の祈りの本は、キリスト者でないと、その価値はさっぱり分からないと思われますが、逆にキリスト者であるなら、日々このような優れた祈りの書をひもとき、祈りを単なる「お願い」「困った時の神頼み」ではない、豊かなものに磨きたいものではないでしょうか。
そしてベイリーの「朝の祈り 夜の祈り」。この本も大変な名著です。「ゆうべの祈り」がシンプルながら力強かったのに対し、こちらは大変美しい。読んでいるだけでも心が洗われるような流麗さがあります。
また、美しいだけではありません。「ゆうべの祈り」は1年366日分(2月29日含む)の祈りが収録されていましたが、こちらは1か月31日分、更には主日の朝と夜の祈り、計32×2の64種類の祈り。その祈りも、主の祈りで締めくくるものあり、主イエスの台詞の引用あり、聖句ありで非常にバラエティに富んでいます。
特に主日朝の祈りの冒頭が気に入っています。「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、万軍の主、その栄光は全地に満つ。いと高き神に栄光あれ」。言うまでもなく、イザヤ書6章3節と、ルカ福音書2章14節からの引用です。この本は、このように聖句から引用した祈りが多く収録されていますが、祈りの一番のお手本は、ほかならぬ聖書である事が、この本を読めば良く分かります。
私たちは、日々忙しい毎日を送っており、ともすれば日々が大いなる神の恵みのもとにある事を忘れがちです。のみならず「私の信仰生活は平凡で、証しなどできませんよ」などと思ってしまいがちです。しかしこの本を読めば、いかに私たちの生活が恵み深きものであるかが、きっと実感できるはずです。そしてその恵み深き事を思う時、自然とこの本の祈りに対し「アーメン」と口にできるはずです。
「朝の祈り 夜の祈り」というタイトル通り、朝起きた時、そして夜寝る前に読みたい良書です……が、どうやらこの本、現在では入手できない模様です(またなのか(笑))。先日私が下関駅前にある某大型商店内の某書店で、この本が1冊あるのを見つけましたので、欲しい方は是非下関までどうぞ(何じゃそりゃ)。