日本基督教団小月教会

使徒〜遣わされし者たち

使徒〜遣わされし者たち ■原案・画/ケリー篠沢
■日本聖書協会
■A5版・288ページ

日本聖書協会の、「みんなの聖書マンガシリーズ」第2弾。新約聖書のうち、福音書(の一部)をマンガ化したものは珍しくないですが、使徒言行録を取り上げたものは珍しいのではないでしょうか。私は他に見た事がありません。

使徒言行録は、福音書の中でも特異な地位を占める「ヨハネによる福音書」と、パウロ書簡の中でもとりわけ重要視される「ローマの信徒への手紙」の間にあって、イマイチ地味な存在です。ところが、こうしてマンガになると、これが実に面白く、かつ示唆に富んだ物語である事が分かります。

そう思えるのも、マンガ化におけるストーリーテリング、及びキャラクターメイキングの手法がいかに優れているかという事です。第1巻で好評だった、個性的なキャラクターは今回も健在。主人公にあたるパウロを初めとして、男気のあるバルナバ、お調子者のマルコ、イケメンのテモテ、豪快なアキラと可愛らしいその妻プリスキラ、ナイスミドルのルカなど、聖書だけ読んでいたら誰が誰だか分からなくなってしまいがちな多くのキャラクター(使徒言行録は、実に登場人物が多いのです)が、とても生き生きと描かれています。

また、要所要所ではパウロの伝道の足取りを示した地図を挿入したり、代表的なパウロ書簡については、執筆の経緯と大まかな内容も示されており、単なるマンガを越えて、使徒言行録を一層理解する助けになる仕掛けもてんこ盛り。「使徒言行録って、登場人物と舞台が多岐にわたる割りに、イマイチ掴みどころがなくて」という方は、このマンガをご一読されれば、理解が深まる事請け合いです。

この作品で一番の見所は、やはりパウロでしょう。回心前と回心後で変わり過ぎです。ファリサイ人じゃなくても「な、なにーっ!」と言ってしまうでしょう(笑)。それこそ、雑誌の広告の「使用前→使用後」という感じ。パウロがどんな風に変貌したか、その片鱗を少しお見せしましょう。

■使用前

回心前のパウロこれが「使用前」。「女子供も容赦するな、どんどん牢にぶちこめ!」と叫ぶ情け無用のパウロ。怖すぎ。凄い悪人顔。目が完全にイッちゃってます。


■使用後

回心前のパウロそれが、回心後はこうなっちゃいます。「お前は主イエスの真っ直ぐな道をゆがめようと言うのか!」と、悪人を成敗するパウロ。まるで別人。これぞ聖霊の力(笑)。


とまあ、第1巻に引き続いて十分楽しめる内容となっています。今回も、新共同訳に忠実。一部独自のエピソードも入っていますが(パウロとルカの出会いなど)、そういう箇所は必ず「ここは推測によるオリジナル」と明記されています。是非買って、ノンクリスチャンの知人に見せてあげれば、聖書が読みたくなる事間違いなしかも?



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