マタイの福音書20章1-16節より
2023年6月11日
<聖書>
天の御国は、自分のぶどう園で働く労務者を雇いに朝早く出かけた主人のようなものです。彼は、労務者たちと一日一デナリの約束ができると、彼らをぶどう園にやった。それから、九時ごろに出かけてみると、別の人たちが市場に立っており、何もしないでいた。そこで、彼はその人たちに言った。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。相当のものを上げるから。』彼らは出て行った。それからまた、十二時ごろと三時ごろに出かけて行って、同じようにした。また、五時ごろ出かけてみると、別の人たちが立っていたので、彼らに言った。『なぜ、一日中仕事もしないでここにいるのですか。』彼らは言った。『だれも雇ってくれないからです。』彼は言った。『あなたがたも、ぶどう園に行きなさい。』こうして、夕方になったので、ぶどう園の主人は、監督に言った。『労務者たちを呼んで、最後に来た者たちから順に、最初に来た者たちにまで、賃金を払ってやりなさい。』そこで、五時ごろに雇われた者たちが来て、それぞれ一デナリずつもらった。最初の者たちがもらいに来て、もっと多くもらえるだろうと思ったが、彼らもやはりひとり一デナリずつであった。そこで、彼らはそれを受け取ると、主人に文句をつけて、言った。『この最後の連中は一時間しか働かなかったのに、あなたは私たちと同じにしました。私たちは一日中、労苦と焼けるような暑さを辛抱したのです。』しかし、彼はそのひとりに答えて言った。『友よ。私はあなたに何も不当なことはしていない。あなたは私と一デナリの約束をしたではありませんか。自分の分を取って帰りなさい。ただ私としては、この最後の人にも、あなたと同じだけ上げたいのです。自分のものを自分の思うようにしてはいけないという法がありますか。それとも、私が気前がいいので、あなたの目にはねたましく思われるのですか。』このように、あとの者が先になり、先の者があとになるものです。」
(マタイの福音書20章1-16節)
<説教>
ぶどうは雨季になる前に急いで収穫します。雨にぬれるとぶどうが腐ってだめになるからです。そのために多くの働き人が必要となります。イスラエルでは実際に、ぶどう園の主人は朝の市場で労働者を募集しました。
朝早く(6時)から一日中、労苦と焼けるような暑さの中を働いた人たち、9時、12時、午後3時、そして午後5時に一時間だけ働いた人たちがいます。どちらも賃金は1デナリでした。
朝早くから仕事を与えられた人たちは、一日(12時間)1デナリの約束をしました。しかし、それ以外の人たちは、特に労働条件があったわけではありません。ただ「それ相応の報酬」があると言われただけでした。
また、午後5時に市場に立っていた人たちは「誰も雇ってくれない」と言っています。
しかし、一日の終わりに最後に1時間しか働かなかった者から順番に賃金が支払われます。それも1デナリです。12時間働いた者は不平を言いました。
朝早くから働いた者たちは、自分たちは労働の契約を交わした特別の存在だと過信しました。そして、彼らは義務的に報酬のために働いのです。
しかし、午後5時からの労働者は、いくら報酬があるかも気にせず、雇ってくれた主人を信頼して、お金のために義務的に働くのではなく、喜び、感謝の姿勢がありました。
このたとえ話は、神さまに仕えて生きる姿勢をあらわしています。神さまを第一にして生きるとき、ただ報酬のためだけに仕えるのではなく、神さまに喜んでいただきたいという姿勢が大切です。取り決めや、条件、約束だけに縛られて働くのではなく、どのような心の姿勢で、また動機を神さまは問われるのです。
心が正しければ、働きも正しくされます。心が利己的で貪欲であるなら、働きも悪いものとなります。わたしたちと神様との関係がどうであるかが大切なのです。
イエス様を信じる者、イエス様のために生きていこうとする者は、自分が思う以上の報酬を与えられることでしょう。人間にはその人の働きを見た目や結果でしか判断できません。それは、心の動機や心の状態を理解することができないからです。 しかし、この地上の、自己中心的な順序や、この世から認められる優劣は、神さまによってすべて反対にされます。神さまは、物事の結果だけでなく、そのプロセス、心を見られるからです。
神さまを信じて仕えたら、いくら報酬があるのか、どんな利益があるのか。そんなことは何も心配しなくてよいのです。神さまは、それ相応のよいものをくださいます。
あなたの人生が今までどうであったかは大した問題ではありません。大切なのは、見返りを求めてイエス様を信じるのではなく、イエス様という人格を心から信頼する者を神さまは喜ばれます。
この地上の人生を終えた後、天の御国に迎え入れていただき、神の子どもとしての財産を受け継ぎます。もちろんこの地上の歩みも神様とつながり祝福が注がれます。