鯨たちの受難
~問題化するプラスチックごみ~
私が小さいころ、今から6~70年前、お母さん方は下駄をはいて、カランコロンと足音を立て、手には竹で編んだ買い物かごを持って買い物に出かけていました。また、豆腐を買う時は鍋を持ち、醤油などの水物はビンをもって買い物しており、また飴やお菓子類は紙袋に、その他新聞紙に包んで渡してくれる品物もたくさんありました。
それが今は何も持たなくても買い物をレジ袋に入れて渡してくれますし、飲み物などはペットボトルやビン・缶に入って販売されており、さらに自動販売機で購入できるものもたくさんあって、昔に比べるとずいぶん便利になりました。
しかし近年、私たちの生活を格段に便利にしてくれたレジ袋、ペットボトル、プラスチックカップ等のプラスチックごみが社会問題になってきました。これは世界が気付いた待ったなしの現在の難題と言われています。
先日の新聞にインドネシア・スラウェシ島東南スラウェシ州の小島の浜辺に体長9・5メートルのマッコウクジラの死骸が打ち上げられ、胃の内容物から5・9キロのプラスチックごみが見つかったと書かれていました。
胃の内容物は、プラスチックカップ115個、プラスチックボトル4本、ナイロン袋などだったということです。たぶんイカやクラゲ等と間違えて飲み込んだのではないかと思われます。
これらのプラスチックごみは、資源ごみ(溶かして再利用・生産全体の約9%のみ)・可燃ごみ(普通に燃やしたらダイオキシンが発生)・不燃ごみのいずれかに処理され、海洋に漂うことはないはずなのに、なぜ大量の廃プラスチックが海の汚染につながっているのか不思議に思います。
しかし、残念ながら朝子供たちの見守りに街頭に立つとき、道端や空き地、時には教会の庭にまでレジ袋やペットボトル、発泡スチロール容器等が投棄されているのを見かけ、ごみステーションに持って行ったり、教会のゴミ箱に入れたりしています。
このような心ないポイ捨てがやがて、川に流れ込み海に流れ出して、たくさんの海洋生物を苦しめているのです。先日は南アメリカ西岸に漂う大量のプラスチックごみをテレビで見て驚きました。また、その内の多くは日本からのゴミであると聞いてさらにショックを受けました。
ポリエチレンごみは分解に100年以上かかり、硝酸で化学処理しても数か月かかるという代物です。便利ではあるがこんなに分解され難いごみをどう処理したらいいのか専門家の方々も思案に暮れています。
しかし、先日面白い記事を見つけました。ある方が蜜蜂の巣箱から蜜蝋の寄生虫オオミツガの幼虫を取り出し、約100匹をビニール袋に入れておいていたそうです。たぶん後で捨てるつもりだったのでしょう。それが12時間後に見たらビニール袋が穴だらけになっていて、92ミリグラムが分解され消滅していたというのです。
なかなか分解されない厄介者のゴミを分解する幼虫が見つかったということで、ケンブリッジ大学が早速その研究を始めたということが書かれていました。やがてはよい分解方法が見つかるかもしれません。
地球環境のために小さな寄生虫の生態をコツコツ研究続ける方々の目立たない努力が、私たちの環境を改善する大きな結果を生みだすかもしれません。
一方、これぐらいとゴミをポイ捨てする小さい怠惰が大きな環境破壊を呼んでいる現実もあるのです。良い忠実さを身に着けたいと思います。
小さい事に忠実な人は、大きい事にも忠実であり、小さい事に不忠実な人は、大きい事にも不忠実です。ルカ16:10
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