神様 義母を有難うございましたⅥ
〜「私食べてないのよね。」〜
作:牧師夫人 佐多多視子
○食事篇
元気なころの母は、昼食はクッキー2枚と牛乳とか、サツマイモ2切れと牛乳とかであまり量を摂らない人でした。ところが家に来ると普通に食事を摂るし、私より食べることも多々ありました。大勢で食べるのが楽しくて、つい量が増えたのでしょう。
また、認知症の影響か、3男の帰りが遅く夜8時ごろに食事をしている横で「私食べてないのよね。」と言うようになったので、表を作って「今日は○月○日でこれは朝食です。ここに○をしてからお祈りをして頂きましょうか。」「これはお昼御飯です。ここに○をして下さい。」と言っていると、3日程で3男が食べていても何も言わなくなりました。自分が言っていることはおかしいんだと、きっと勘をしたんだと思います。
母はおでんの糸コンニャクが好きで、お皿を主人のと取り換えようとします。それで主人のは、お皿の一番下に糸コンニャクを入れて、その上に他の具材を置き、母のものは他の具材の一番上に糸コンニャクを置くと、自分には糸コンニャクがたくさんあると思って、喜んで食べていました。
母の認知症がだんだん回復してくると、更なる回復のために母に配膳のお手伝いをお願いしました。「お母さん、これはお母さんのものです。お母さんの座るテーブルの上に置いてください。」と言うと、「私の、私の・・・ここかな?」と置いてきます。「お母さんこれは洋明さんのです。洋明さんの座るところに置いてください。」と言うと「洋明、洋明…」と置いてきます。「これはK君の」「これは私・多視子のですお願いします。」と言うと1度も間違わずに毎日できました。そこで、1回1回必ず褒めました。「お母さん、すごい良く覚えてますねぇ。すごい、すごい」と。
もし「さっき食べたでしょ。また食べるの」という人がいる場合はやはり表をみせて「さっきのは朝ご飯ですよ。これは昼ごはんです。お母さんに長生きしてほしいと思って考えて一生懸命作ったんですよ。~~~わあ、おいしいわ!お母さんも食べてみて下さい。」ここまで言って食べないのであればお腹がいっぱいということなので、次のご飯を少し早くするとか、ちょっとだけ量を増やしてみてはと思います。
母は93歳ぐらいまでは私達が食べるのと同じものを食べられていました。そのうちシイタケとコンニャクをちゃんと噛む事ができなくなりました。ただし、細かく刻んで炊き込みご飯に入れると食べられました。
また鶏肉は噛むと細かくばらけるのでかなり咀嚼力が弱くなっても食べられましたが、牛肉と豚肉は噛み切れなくなりました。しかし、ミンチにすると食することができました。そこで、教会の方にも伝えましたら、心得てくれてお食事会ではミンチボールのお吸い物やちらし寿司などを母に合わせて料理を作ってくれました。
水曜日は卵料理をすると決めました。母の時代の人は卵1個を一人で食べられるなんて贅沢な事なのでとても喜んで食べてくれました。最初は目玉焼きをしていましたが、目玉焼きは回り(縁)が早く焼けるので、そこの部分が固くなって、そのうち噛み切れなくなりました。そこで卵焼きを作って一口大に切って出すと暫くは食べることができていました。やがてそれも難しくなったので、スクランブルエッグにして出しました。
余り早くから年寄り扱いをして、親切にと思って柔らかいもの、細かく切ったものを出すと、かえって咀嚼力が弱まってしまうと思って出来るだけ私達と同じものを食べていただきました。
あなたの父と母を喜ばせ、あなたを産んだ母を楽しませよ。箴言23:25
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