博多駅前道路陥没事故
~勤勉で憐れみ深い国民~
11月8日早朝、博多駅と福岡空港を地下鉄で結ぶための、七隈線延伸工事現場で大規模な道路陥没事故が発生しました。駅前の人通りの多い幹線道路での大事故だけに、大きな被害が心配されましたが、幸い早朝だったのと現場の人の素早い対応によって、人的被害は免れました。
今から約50年前、私が博多にいた当時はまだ路面電車が走っている長閑な街でしたが、ちょうどそのころから地下鉄敷設工事が始まり、あちこちの道路が掘り返されていました。
博多は地盤が弱いのか小さな陥没事故は今までも時々起きていたようです。しかし、今回は幅27m、長さ30m、深さ15mという大規模な陥落事故で、テレビの映像では信号機等が深い穴の中に飲み込まれていく様子が不気味に映し出されていました。
福岡市は付近一帯を立ち入り禁止にして、福岡の土木業者総出で、24時間不休の復興作業に取り掛かりました。テレビに映し出された作業の様子では、様々な色の作業服を着た違う会社の作業員が団結して復旧に取り掛かる様子が分かりました。
しかし、大きな陥没穴には下水等から流れ出た汚水が溜まっていたので、水抜き作業を行い、その後土を流し込んで、穴を完全に塞いで元通りに復旧するには少なくとも数か月を要するだろうと見られていました。
それが、水の中に直接流し込んでも、水と混ざらない流動化処理土なるものを陥没した穴の水溜りの中にどんどん注ぎ込んでいきました。処理土は作り置きできないのですが、幸い福岡にはその処理土を作る会社が2社あったという事で、最終的にはミキサー車1800台分投入しました。
この処理土は水の中でも下からどんどん固まって沈殿していくもので、溜まった水は押し上げられ破損してぽっかり口を開けた下水管にまで達しました。そこで、その泥水を塩素消毒して下水に流し、埋め戻しました。またこの処理土は優れもので、固まった後でも簡単に掘り起こすことができるそうで、水道管、下水管や電気等のライフラインも早急な復旧が行われ、わずか1週間で元通りになりました。
これ等は、1日も早い復旧を願い早急な対応を図った福岡市と、不眠不休で一致協力くださった土建業者の方々の努力の賜物だと感謝します。
この復旧の速さには世界中から称賛や驚きの声が届きました。普通は数か月から国によっては数年をも要するであろう復旧工事を、わずか1週間でやり遂げる日本人の対応力のすごさに皆脱帽していました。
ある国の方は、このような事故が起こると、まず原因究明に数か月、復旧計画立案と業者選定に数か月、工事に数か月いや下手すると数年かかると言っていました。
それが、違う会社の方々が団結して不眠不休で復旧に当たる、このような素晴らしい国に住んでいることに感謝しました。さらに、私が感動したのは道路陥没事故によって営業停止を余儀なくされた会社の内、賠償金の支払いを辞退された企業があったことです。
ある薬局は営業できないことによる損失が数十万に上ったにもかかわらず、「東日本大震災で被災された方々や熊本地震で被災された方々に比べれば、私たちの損失は大したことはありません。このお金はそのような人々に回してください。」と辞退され、また同じように損失を被った病院も同じような理由で賠償金を辞退されたという事でした。
苦しんでおられる他者を思いやるこのような素敵な方々と同じ国に住んでいることにも感謝致しました。
あわれみ深い者は幸いです。その人はあわれみを受けるからです。心のきよい者は幸いです。その人は神を見るからです。平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。マタイ5:7~9
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