ウナギの完全養殖
~あの懐かしい味をもう一度~
私が幼少期を過ごした屋久島では、当時川には天然ウナギがたくさんいて、川に胸あたりまで入って、それを取ることを生業にしている人がいました。
私の兄は夕方にウナギの罠を仕掛けて、朝学校に行く途中にそれにかかっていないかを調べながら歩き、かかっていたらそれを取って急いで家にもって帰り、改めて学校に出かけていました。
ウナギの罠はテグスや綿の紐等を使います。約30~40センチの紐の先に針を取り付け、それにミミズの餌をつけます。そして、その紐の反対側に5センチほどの木の枝を付け、細長い棒の先に針をひっかけてウナギのいそうな海岸の石と石の間の小さな穴に差し込みます。
そのようにして、餌の付いた針は穴の奥に入り、一方の紐の先につけた木の枝は水面に浮かんでいるようにします。すると、ウナギがかかると浮かんでいた木の枝が水面から沈んでウナギの穴の外側に引っ掛かります。それを見てウナギがかったかどうか判断できるので、そうなっていたら、穴にかかった木の枝を引っ張ってウナギを引き出すのです。
そのように、簡単にウナギを取ることができ、それを母がまな板でウナギの頭をくぎで打ちつけ、ウナギの細い体を二つに裂いて料理して食べさせてくれました。当時は今みたいに旨いたれがなかったのですが、それなりに美味しかったことを記憶しています。
しかし、大きくなってからうなぎ屋で食べた本物のウナギの旨さはやはり格別でした。そのようなウナギですが、近年その稚魚の漁獲量が激減して、私の口にはなかなか入りにくい高級な食べ物になってしまいました。
早く完全養殖の技術が確立することを願っています。現在、ウナギの養殖は天然のウナギの稚魚(シラスウナギ)を捕獲して、それを育てることをしています。しかし、そのウナギの稚魚の漁獲量が多い年は200トンもあったそうですが年々減ってきて、今では5~27トン程度を推移しているということです。それでは、なかなか私たちの口に入らなくなってきたのも仕方ありません。
ウナギはフィリピンのマリアナ海溝あたりで産卵をして、それが長い月日をかけ仔魚から稚魚になって日本近海に泳ぎ着きます。それを捕獲して養殖して、成魚にして出荷するのですが、現在成魚から卵を取り、それを育てて仔魚・稚魚・成魚というように育てられないかというかなり困難な完全養殖の研究が日本各地で熱心にされています。
それが、先日鹿児島のある会社でも二ホンウナギを独自に開発したシステムで人工的に生産したことが新聞に掲載されました。そして、3年後には年間1万匹の生産を目指して取り組んでいるということでした。
ただ、養殖技術が確立している真鯛だと大体1~2ヵ月でたまごのふ化から稚魚になるそうですが、ウナギの場合それが半年から1年半もかかり、今回の鹿児島の会社の成功にしても、卵からシラスウナギまでの生育率は1%にも満たないというのですから完全養殖にはまだまだ前途多難ということです。
それでも、失敗を繰り返して研究を続けておられる研究者の方々の努力には頭が下がります。多くの研究者の長年の成果が表れ、一般の人が昔のように気楽に食べられる日が来ることを信じています。その時は研究者の長年の努力の成果であることをも鰻と一緒にかみしめながら味わいたいと思います。
まことに、【主】は、良いものを下さるので、私たちの国は、その産物を生じます。詩篇85:12
なまけ者よ。蟻のところへ行き、そのやり方を見て、知恵を得よ。蟻には首領もつかさも支配者もいないが、夏のうちに食物を確保し、刈り入れ時に食糧を集める。箴言6:6~8
No Response to “ウナギの完全養殖”