女性の尊厳
~身体と心が共に癒されてこそ初めて寛解~ 佐多多視子
医師である長男が私の見舞いに来た時ぽつんと言いました。「こういう女性を相手に働いている医者って大変なんだよね。よく訴えられるから。自分もその事は気を付けているよ。」関東の方の病院ではそうなのだな。彼の科の場合は患者さんに服を脱いでいただくようなことはないけど、それでも気を付けているんだなと思いました。
私が「お母さんの主治医の先生はそういうことはすごく気を付けておられて、紳士的で立派な方だよ。この病院の看板も背負っておられるという事もあるので気を付けておられるのだと思うよ。だからお母さんはその先生を尊敬してるよ。」
「愛は礼儀に反することをせず、・・・。」Ⅰコリント13:5
主人は結婚式の司式の中で、
「夫たちよ。妻が女性であって、自分よりも弱い器だということをわきまえて妻とともに生活し、いのちの恵みをともに受け継ぐ者として尊敬しなさい。」Ⅰペテロ3:7
と聖書の言葉を読み上げます。皆さんはご自分の母親だけは尊敬できるでしょうけど、妻や娘、さらに周りにおられる女性を尊敬しているでしょうか?職場の女性・道ですれ違う女性に対してはどうでしょう。
皆さんはデニス・ムクウェゲ(Denis Mukwege)さんという方をご存知ですか?昨年ノーベル平和賞を受賞された黒人の牧師で外科医の方です。この方のことが先日テレビで特集されていました。
デニス・ムクウェゲ先生は性暴力を受けた女性たちの手術をし、被害女性を助けることに尽力され、その功績が認められノーベル賞を与えられた方です。彼に手術をしてもらった女性が「私は暴力によって内臓がめちゃくちゃになり、尿管から便が出るような体になっていました。それを先生は尿まみれ便まみれになりながら手術をして助けてくださいました。」と泣きながら話していました。世の中にはこういう立派な男性もおられるんだなと思いました。
また、日本で初めての女医となられた荻野吟子さんという方をご存知ですか?彼女は明治時代のクリスチャンで、医師は全員男性という時代に、男性医師に自らの身体を見せるのが嫌で自殺をしたり、生涯医師にかからず痛みに耐えている女性の多さを知り、女性医師になることを志し、たくさんの迫害の中で十数年もの間勉学に励まれ、ついに日本人第1号の女性医師になられました。この方が先駆けとなって、今やたくさんの女医さんが誕生するようになりました。それでも日本は、まだ世界で1番女医の少ない国です。
上記の方々のように女性を大切に思って下さる人への感謝と勇気を忘れずにいたいものです。
我が家の息子たちはみなクリスチャンですが、2人の子供たちに結婚を考えている人がいると聞いた時、彼らに言いました。「わかってると思うけど、まだ彼女はあなたのものではありません。彼女のことを大切に思うなら結婚するまで、彼女に触れてはいけません。また、それはこれまで彼女を育ててこられたご両親への敬意を表すものであって、感謝を表すものだからです。」彼らも同意し、これを守り今2人とも絵に書いたような幸せな家庭を築いています。
また、女性たちも自分自身を大切にしていただきたいと思います。
病院で頂いた冊子「こころの道しるべ」の中に、「イヤなことはイヤと断る勇気を持ちましょう。あなたの為を思ってしてくれる人は、あなたが本当にして欲しいことをしてあげたいと思っているはずです。」と書かれています。
女性の尊厳のために労してくださった人々のことを思い、勇気を持ちましょう。身体と心が共に癒されてこそ初めて寛解(完治・根治)したことになるのではないでしょうか。
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