自分がして欲しいことをする

公開済み 5月 16, 2021 by 管理人 in アドナイ・エレ

~ 人への思いやりを体現する~

今年度最初の本の読み聞かせを近くの小学校の5年生のクラスで行ってきました。このクラスにも毎朝登校時に私が立つ交差点で会い、挨拶を交わしてる子供たちがたくさんいました。まず本を広げて教室の廊下側の最前席に座っている子に、「○○君そこから見える?」と聞き、次に窓側の最前席に座っている子に「○○君は見えてる」と聞きます。朝の登校時に私と顔を合わせない、違う方向から登校する子たちは、この人は誰だろうと怪訝な顔をしています。

さて、今回は「ゴンダールの優しい光」という題の本を読みました。これはエチオピアが干ばつによる食糧難で飢餓が進んでいる中、ゴンダールに食料配布センターを設けて、人々に食料を配ってる時に体験した出来事についての話です。

食料を求めるためにやってきた人々のあまりの多さに、一人一人に満足に分け与えることができませんでした。そのような中に、遠くの町から食料を求めて何日もかけて歩いてきた8歳と4歳の幼い女の子がいました。しかし、エチオピアの兵隊から「他所の町の人にやる食べ物はない」と言って断られ、二人は何にも貰えませんでした。

食料配布に来ていたスタッフは、彼女たちのことが心配になって探していたら、一人のおじさんが彼女たちに自分が貰った貴重な食べ物を分けて食べさせてあげた上、遠くの町で待っている目が見えないお母さんの分の食料も持たせてあげたことを聞くのです。

感動して親切なおじさんに感謝すると、「自分がされて嬉しかったことを、あの子たちにもしてあげただけだよ。」と、彼はごく当たり前のことをしただけだと言うのです。

本読みで、子供たちに感動が伝わるように、大きな声を出したり、小さい優しい声で話したりして読ませていただきました。皆神妙な顔で聞いてくれていたので、幾分かは優しさの実践についての真意が伝わったかなと思います。

さて先日、人道的な活動で映画界の発展に貢献した人に贈られる第93回アカデミー賞のジーン・ハショルト友愛賞を受賞した映画監督で、俳優であり作家でもあるタイラー・ペリー氏の記事を読みました。

彼は映画や舞台などの創作活動をしながら、慈善活動家として様々な活躍を続けておられて、先日警察官に殺された黒人男性の葬儀代を出してあげたり、新型コロナウイルスで困窮する人に食料品を購入したりするなど、社会で弱い立場にいる人たちを助けてこられました。

プレゼンターを務めた俳優のヴィオラ・デイヴィス氏は、ペリー氏のことを「人への思いやりを体現する人」と表現し、ペリー氏は「近隣住人のために食料品を買ったり、シェルターに避難した女性を助けたり、苦学生に匿名で学費を払ったりしてきた」と紹介していました。

貧しい人や社会的に弱い立場に立つ人たちに対する彼の優しさや思いやりは、彼自身がそこを通って体験しているから、その苦しさを共感できるのだと思います。先のエチオピアの自分のわずかな食べ物を分けてあげるおじさんも食べられないひもじさを共感できるからできたのかもしれません。

豊かな環境の恩恵に浴している私たちは、他の人のことより、まず自分の物の確保に奔走して、次に他の人のことを考えるというふうになりがちだと思います。子供たちが本を通してでも、共に分かち合う事のすばらしさを共感できたら良いと思いました。

日本では「人の嫌がることをするな。」と教えられますが、聖書は人の喜ぶことを積極的に実践するように教えています。ただ、親切は押し売りにならないように、相手の気持ちを思いやりながら行う必要があると思います。

それで、何事でも、自分にしてもらいたいことは、ほかの人にもそのようにしなさい。これが律法であり預言者です。マタイ7:12

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