本読みのボランティア
~「僕はセロテープで付けたと思うよ。」~
小学校に時々ボランティアで本読みに出かけます。子供たちが熱心に話を聞いてくれるので、やりがいを感じています。しかし、私の書棚には子供向けの本がほとんどありませんので、いつも教会員が貸してくださる本を持って行って読んでいます。
しかし、自分でも少しは準備すべきだと思って、先日本屋で「10分で読めるお話」1年生、2年生、3年生の3冊を買ってきて、本読みの時は持ち歩くようにしております。
さて先日は、2年生の教室に行きました。1冊の本を読み終えたのですが、時間が少し余りました。子供たちがもう少し読んでというので、「10分で読める本」から島崎藤村作の「ツルとカモ」というお話を読みました。
話の内容は、長い足を持てあましていたツルは水かきのついたカモの足にあこがれていました。また、短い足のカモは長いかっこいいツルの足にあこがれていました。そこで、長い足のツルと短い足のカモが足を取り替えっこしようということになりました。
ツルは水かきを使って湖をすいすい気持ちよく泳ぎ回ります。また、カモはいつも一緒にいた水鳥たちを見下ろして得意になって水辺を歩いていました。しかし、すぐ両方とも不自由を感じるようになって、また元の足に取り換えてもらうという話です。
つまり作者は「隣の芝生は青い」ということわざがあるように、人の持っている物は実際以上によく見えるものだから、人のものをうらやむなということを伝えようとされたのだと思います。
読み終わった後、子供たちの反応を待ちました。すると、一人の男の子が質問してきました。「ツルとカモはどのようにして足を取り換えたの?」えっ、そこ?という感じです。子供たちは無邪気です。そこが気になったのでしょう。
さあ、大変です。これはあくまでも物語であって、実際にツルとカモの足を切断して、取り替えるなんてできるわけがありません。
子供たちをつまずかせないようにどのように説明しようかと思案していると、他の男の子が、「僕はセロテープで付けたと思うよ。」と言いました。するとすかさず、質問した子も「僕のそう思っていたんだ。」と言ったのです。
あっ、それで良かったのと呆気にとられました。そして、子供って純粋だなと思いました。後で考えると、「ツルとカモは、お互いの足をどのようにして付けたのか。」ということを質問したかったのだなと思いました。そして、もしそれが接着剤だったらはがすのが大変だろうから、セロテープのほうが良かっただろうということだったのだと思いました。
子供たちの純粋な考えに感動しました。彼らにはこのような純粋さをいつまでも持ち続けて欲しいと思います。また私も、子供のような純粋さを持ちたいものだと思いました。
私が子どもであったときには、子どもとして話し、子どもとして考え、子どもとして論じましたが、おとなになったときには、子どものことをやめました。Ⅰコリント13:11
イエスにさわっていただこうとして、人々がその幼子たちを、みもとに連れて来た。ところが、弟子たちがそれを見てしかった。しかしイエスは、幼子たちを呼び寄せて、こう言われた。「子どもたちをわたしのところに来させなさい。止めてはいけません。神の国は、このような者たちのものです。まことに、あなたがたに告げます。子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに、入ることはできません。」ルカ18:15~17
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