小事に忠実
〜勉強よりも朝飯抜き〜
以前は夏休みになると、至る所から子供たちの遊ぶ声が聞こえてきたものですが、今は子供たちの姿を見ることはほとんどなくなってきました。もちろん昨近のうだるような暑さの下で子供たちを外で遊ばせることに親がストップをかけていることもあるでしょうが、子供たち自身が、外に出ないで、家の中でテレビゲームなどをやることを選択しているようにも思います。
しかし、昔と変わらない姿を見ることができる時があります。それは、朝6時過ぎに子供たちが首にカードをぶら下げて、ラジオ体操に急ぐ姿です。2,3人づつ固まって会場に急ぐ子供たちの元気な姿を見ていると、小学生時代の自分を思い出します。
私は朝のラジオ体操が大好きでした、というより体操が終わった後に集まった仲間で遊ぶのが楽しみで毎朝出かけていました。
当時、学校からは午前中の涼しい時間に宿題をするように、朝10時までは友達の家に誘いや遊びに行かないように言われていました。それでわが家でも10時まで外に出ないで、家にいて宿題をするように決められていました。
勉強嫌いの私にとっては、家で10時まで机の前に座らせられることがたまらなく苦痛でした。母は私が宿題を始めると必ず横に座って、私が逃げ出さないように見張っていました。後に母は「私は彼が逃げ出さないように、トイレも我慢して横にいたのよ。」と私の妻に話したそうです。
さて、当時もラジオ体操には子供たちがたくさん集まって来ていました。この人たちを一たび家に戻してしまったら、10時までは集めるのは不可能です。また、今みたいに携帯電話どころかそれぞれの家庭の電話もない時代ですから、再び集めるのは大変なことです。
「○○ちゃんあそぼ~」と1軒1軒回って、集めて回らなければなりません。それも10時過ぎないとできません。それでラジオ体操が終わった後に私と同じように勉強したくない遊び仲間が集まって毎日ソフトボールを始めるようになりました。
私たちにとっては10時まで束縛されるぐらいなら、朝ご飯抜くことぐらい何でもないことでした。そして、毎日お昼前に帰っていました。不思議なことに母はそのことに関しては、そんなに厳しくは怒りませんでした。今考えると私の横にいて見張ることが母にとっても苦痛だったのかもしれません。
それでも宿題はしなければなりませんでしたので、夏休みの終わる頃になると外出を許されず、私にとって地獄の日々が続くのが常でした。
しかし、自分の子供たちを見てびっくりしました。誰に似たのか宿題をもらってくると一気に済ませてしまって、夏休みを悠々と過ごしているではありませんか。わが子ながら偉いな、凄いなと感心しました。
私は夏休み中遊びほうけていましたが、いつかは宿題を済まさなければならないと、いつも心の重荷を負って遊んでいました。しかし、彼らは心おきなく遊べているのだろうなと羨ましく思っていました。
嫌なことから逃げても結局はしなければならないのだったら、先にする方が良いと遅ればせながら、子供たちによって気付くことができました。
小さい事に忠実な人は、大きい事にも忠実であり、小さい事に不忠実な人は、大きい事にも不忠実です。ルカ16:10
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