汝の敵を愛せよ

公開済み 12月 22, 2013 by 管理人 in アドナイ・エレ

〜マンデラ氏の「レインボー・ネーション(虹の国)」〜

あなたはあなたを苦しめたり、あなたに害を加えたりした人を赦せますか。相手が権力者だったり、実力者だったりすると、泣き寝入りせざる得ないこともあるかもしれません。その様な場合、相手に直接反撃を加えられなくても、赦さないで憎しみを心に持ち続けることはあるでしょう。

私たちは自分を迫害する人、自分を傷つけた人、自分に敵対する人が自分に与えた苦しみを赦すだけでも、かなりの寛容さと忍耐を要します。たとえ、赦せたとしても相手は100%得をし、自分は100%損をしたという気持ちは否めません。ましてや、その相手を愛することなんて到底出来るものではありません。

しかし、ここにそれを実践された方がおられます。それは、南アフリカ共和国の第8代大統領のネルソン・ホリシャシャ・マンデラ氏です。彼はアパルトヘイト政策(人種隔離政策)の撤廃に「汝の敵を愛しなさい」の精神で尽力され、その功績が認められて1993年ノーベル平和賞を受けられました。そして先日95歳の生涯を閉じられました。その葬儀には世界各国から多くの要人が参列され、その偉大な功績を共にしのび、彼の死を悼みました。

彼の住む南アフリカは全体の約10%の白人に支配され、居住区域もバスも白人と区別され、ひどい迫害の中にありました。それに対して抗議をあげる者は反逆者として徹底的に迫害され、拷問を受け、殺されました。その当時、黒人の人権は完全に剥奪されていたのです。

若い頃の彼は、反アパルトヘイトの闘士としてその運動に身を投じ、1964年に国家反逆罪で終身刑の判決を受けました。そして、27年間に及ぶ獄中生活を余儀なくされました。彼はその過酷な環境下で、結核を始めとする呼吸器疾患になり、石灰石採掘場での重労働によって目を痛めました。しかし、彼はその中でクリスチャンとしての在り方に目覚めたのです。

しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。マタイ5:44

彼は黒人が束縛の中にあるように、迫害している白人たちも実は束縛の中にあることを知り、彼等を理解し受け入れるようになっていきました。すると、彼を苦しめていた看守たちの態度が明らかに変わり、終身刑を受けていた彼が27年後に釈放されたのです。

迫害された黒人たちの、理不尽な人種差別への怒りは、想像を絶する激しさだったのですが、彼は釈放後、人種融和を訴え、白人への報復を強く戒めました。黒人たちは最も迫害を受け、最も白人を赦せない思いを持ってしかるべき彼がそのように宣言するので、彼に従うようになりました。

そしてついに、1991年にアパルトヘイト終結を宣言、3年後の全人種選挙でマンデラ氏は大統領へ就きました。そしてその時の就任演説で「黒人や白人ら全ての南アフリカ人が、いかなる恐怖心も抱かずに胸を張って歩けて、人間の尊厳が保障された社会を建設することを約束する」と述べ、多人種共存の「レインボー・ネーション(虹の国)」を提唱しました。人種対立が激しくなり、内戦も懸念される中で「許し」を説き、新しい国造りを軌道に乗せたのは氏の最大の功績でした。

メソジスト教会のクリスチャンだった彼の残した言葉に、「どこであっても自由への歩みは容易ではない。我々の多くは、望むものの頂上にたどりつくために、死の影の谷を何度も何度も通り抜けなければならない」と彼の体験を通し、詩篇23篇を引いて宣言しています。

また彼は、「生まれながらにして肌の色や出身や宗教を理由に他人を憎む人は誰もいない。憎しみは後から学ぶものであり、もし憎しみを学ぶことができるなら、愛することも教えられるはずだ。愛はその反対の感情よりも、人間の心にとって自然になじむものだから」と、キリストの愛を実践するように勧めました。

キリストは、私たちのために、ご自分のいのちをお捨てになりました。それによって私たちに愛がわかったのです。ですから私たちは、兄弟のために、いのちを捨てるべきです。・・・子どもたちよ。私たちは、ことばや口先だけで愛することをせず、行ないと真実をもって愛そうではありませんか。Ⅰヨハネ3:16,18

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