誰のための衆議院解散?

公開済み 11月 30, 2014 by 管理人 in アドナイ・エレ

命もいらぬ、地位も名誉もいらぬ、金もいらぬ

このコラムでは、あまり政治的なことには触れないようにしていますが、議員の資質や政治家としての取り組みに関して少し意見をのべさせていただきたいと思い書きます。

日本国民の大半が、この冬の一番慌ただしいこの時期に衆議院解散、そして700~800億円の税金を投入しての総選挙があろうとは夢にも思っていなかったことでしょう。もちろん私も突然起きた衆議院総選挙に戸惑いを隠せません。

ところが、安倍総理が消費税10%への増税延期に続き、突然衆議院議員の解散を宣言されたので、年末選挙戦に突入してしまいました。

それでは、なぜ安倍首相は唐突とも思えるその様な決断をされたのでしょうか。

そこにはいろいろな憶測が飛び交っています。その一つは、日本経済が思うように好転せず、日本経済がアベノミクスの目論見通りに行かない可能性が出てきたことがあるからだと言われています。

実質GDP(国民総生産)対前期比率成長率が4~6月期―1,9%(年率―7,3%)と出ましたが、その段階では消費税増税前の駆け込み需要の反動で落ち込むことは織り込み済みとされていました。それが、7~9月期のそれも―0,4%(年率―1,6%)と予想に反してマイナス成長という結果が出てしまいました。

そこで、急に政界の環境が変わり始めたのだと思います。もしこのままズルズルいけば自民党の支持率は確実に急落して行きます。そこで、自民党が負けないタイミングでの急な解散となったのではと言われているのです。

また、急な解散総選挙を打って、野党陣営の選挙態勢が整わないうちにやってしまおうとの思惑もありました。案の定、この急な解散総選挙に野党は候補擁立が間に合わなくて、自民党の思惑通り、どこも候補者が少なく選択肢の少ない選挙となりそうです。

私たちの選挙区でも、自民党の候補の他に共産党が候補を立ててくれてようやく選挙の体制が整いました。もし共産等が候補を立てなかったら、自民の無投票当選になり、選挙で民意を示すなんて飾りごとになってしまいかねませんでした。

それにしても選択肢の狭さにこの総選挙で国民の民意を集約したことになるのだろうかと不安になります。

薩摩の偉人西郷隆盛の残した言葉に次のようなものがあります。これは政治を与かる者としての姿勢を示したものです。

「命もいらぬ、地位も名誉もいらぬ、金もいらぬと言う人間は、まことに始末に困る。けれども、その様な人間でなければ、天下の大事を任せることはできない。」

お金儲けのために政治をするわけではなく、地位や名誉が欲しくてそれをするわけでもなく、国民のためなら自分の命だって犠牲にできる、その様な自己犠牲の精神を持つ人が政治家としての資質を備えた人だと言うことでしょう。

その様な方が今回の選挙にどれほど立候補しておられるでしょうか。その様な人を選びたいと思いますが、ただ二人だけの立候補者の中にその様な人を見つけることができるだろうかといささか心配です。

聖書にソロモンがユダの王となった時、神が彼に現れて「あなたに何を与えようか。」といわれました。それに対してソロモンは富や名誉も求めないで、「私は未熟者です。この民を正しく導く知恵を下さいと答えました。」と願いました。その姿勢を神はたいそう喜ばれ、次にように仰せられました。

神は彼に仰せられた。「あなたがこのことを求め、自分のために長寿を求めず、自分のために富を求めず、あなたの敵のいのちをも求めず、むしろ、自分のために正しい訴えを聞き分ける判断力を求めたので、今、わたしはあなたの言ったとおりにする。見よ。わたしはあなたに知恵の心と判断する心とを与える。あなたの先に、あなたのような者はなかった。また、あなたのあとに、あなたのような者も起こらない。そのうえ、あなたの願わなかったもの、富と誉れとをあなたに与える。あなたの生きているかぎり、王たちの中であなたに並ぶ者はひとりもないであろう。Ⅰ列王3:11~13

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