東北での復興支援研修Ⅱ

公開済み 5月 25, 2015 by 管理人 in アドナイ・エレ

〜「たくさん雑草が付いとる!」〜

作:佐多 恵悟

今週も先週に引き続き、私、牧師の3男が、新人研修の一環として行った東北復興支援の活動と感じたことなどを分かち合いたいと思います。

 

2日目以降の予定は、朝8時から昼の15時まで、各割り振られた場所で漁師の方々の指示に従い、支援等の活動をするでした。私たちは8名のグループで、ある1つの浜に割り振られました。

午前中は「めかぶ削ぎ」と言って、めかぶの着いている茎からめかぶを剥ぎ取る作業を港で行いました。漁師さんたちは、朝の3〜4時に養殖場から取って来て作業を始めておられたので、頭が下がる思いでお手伝いさせていただきました。多い時は1t 〜 1.5tものめかぶを削いだり、袋詰めしたりして、確実に普段は経験できないような体験をさせていただきました。

午後は、日によってまちまちでしたが、作業で用いる道具の洗浄や事務所の清掃、海に沈めるためのサンドバッグ作りなどのお手伝いをさせていただきました。

浜で活動させて戴いた4日間、私たちは漁師やお手伝いの方々から、様々な話を聞かせていただきました。元々、船の操縦を仕事とし、すでに定年退職しておられたのに、震災後に「地元を助けなければ」と思って、今はめかぶ削ぎをされておられる方。南極観測隊の一員だったけど、この浜にこられた時に、ここ南三陸が気に入り、この浜に移住する予定の方。もちろん、親族が津波で…って方もいらっしゃいました。それでも、一人ひとりが、今は未来に希望を持って、この南三陸で仕事に専念されている姿を拝見し、私たちも彼らのように仕事をさせていただきたい、という想いが、心の底から湧いてくる気がしました。

もしあなたが苦難の日に気落ちしたら、あなたの力は弱い。箴言24:10

忠実な人は多くの祝福を得る。箴言28:20

活動以外の時間は、山に登って浜の全貌を上から見下ろしたり、船に乗って養殖場を見させていただいたり、そこで採れたてのホタテを戴いたりしました。漁師の方々も「君たちのためにホタテ残しておいたよ〜」と言いながら、嬉しそうに私たちに振る舞ってくださり、「お邪魔するのは迷惑ではないだろうか」と、内心思っていた私たちは肩の荷が降りて、「この漁師さんたちを喜ばせたい」という想いが強くなりました。

私にとって一番印象的だったのは、ホタテを取りに行った時の、漁師さんの一言でした。ホタテを養殖している場で、その綱を持ち上げた時、たくさんくっついている海藻(簡単に言えば雑草みたいなもの)を見て、「うわ、たくさん雑草が付いとる!」と言ってそれを取りながら、嬉しそうに、「それだけ、この海にたくさんの栄養があるってことだよな!」て仰られたことでした。

震災でほとんどの船や網などが流され、今も個人で持っている船は小型のものが1艘という状況。震災後には、南三陸から出て行く若者もたくさんいて、なお一層人手不足となった浜。海の栄養もほとんど流されてしまい、最初の年は全然取れなかったとのこと、その中で、本当に多くの苦労をされて、未だに仮設住宅暮らしをしながら、仲間と協力し合って「この浜を元通りにしよう」と、日々、復興に取り組んでこられた。この発言後、漁師の笑顔が、私にはなお一層輝いて見えました。

私たちは、四方八方から苦しめられますが、窮することはありません。途方にくれていますが、行きづまることはありません。Ⅱコリント4:8

 

今回の研修で、私は本当に多くのことを学びました。それは、震災の復興はまだ続いているということ、それを風化させないで伝え続けることはもちろん。自分の仕事に誇りを持つとはどういうことなのか、人を愛し、地元を愛するってどういうことなのか、そして、私が研修を終えてから仕事に取り組む時、どんなことを想って、どんな姿勢でのぞむべきなのか。デスクワークでは決して得ることはできなかった学びを、この5日間でさせていただいたように感じました。

私ができる、私がすべきこと。それをしていける社会人になれたら、と思っています。

 

写真:海藻(雑草)がたくさんついたホタテ養殖綱と養殖場

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