孫の中学受験
~僕合格できるかもしれない~
長男は医師でなかなか休みが取れない中、正月三ケ日何とか休みをいただいて、私の古稀のお祝いをしてくれるために家族5人で千葉から帰ってきてくれました。
移動日含めて3日間の強行軍でしたが、その中日(なかび)にすでに帰省していた3男と共にホテルでお祝いをしてくれました。孫たちの内4年生の長男K君と幼稚園生の次男T君は思いっきり遊んで、鹿児島旅行を楽しんでいる様子でしたが、6年の長女Mさんは中学受験を間近に控え、来ている間も問題集を前に受験勉強に励んでいました。
高校受験でさえもあまり熱心に勉強した覚えがない私の孫にしてはしっかりしているなと尊敬の念さえ抱きます。そういえば、夏休みに来た時もよく勉強するようになったなと思っていましたが、中学受験のためだったんだと今回初めて納得しました。
いつも登校時に小学生達に接している中に、中学受験する人などめったにいなくて、のんびり楽しく過ごしている様子を見ているので、小学生の時から受験勉強する都会の子?は大変だなと思いました。
そのように考えているとき、ふと長男が中学受験したことを思い出しました。当時私は中学受験なんて全く考えていなかったのに、小学5年生の彼が「おとうさん、僕R中受けて良い?」って、突然言って来ました。
R中は県外から頭の良い子たちが受験に来る全国的にも名の知れた超難関中なのに、彼はそこがどんなレベルか分かって言っているのかしらと思いましたが、とにかく目標を高く置いて挑戦してみたいとの思いが強いようでした。
しかし、当時私は勤めていた会社を辞めて、牧師になったばかりで経済的にもかなり困窮しており、到底私立の中学へ行かせる余裕などはありませんでした。とはいっても、彼がせっかく前向きに挑戦したいと思っているその意欲をくじくのもはばかられました。
そこで、彼に言いました。「R中を受験するのは良いけど、一つ約束して欲しいことがある」。彼は「エッ、なに?」、「それは、もし君が合格しても行かないこと。」
すると、彼はすんなり「いいよ。わかった。」と言ってくれました。我が家の家庭事情が分かっていたのか、目標をもって勉強するのが目的だったのか分かりませんが、あまりにもあっけない答えに驚き、安堵しました。
それから彼の猛勉強が始まりましたが、何せR中の合格レベルに塾に行かないで独学で到達するのはかなり困難なことでした。
受験前にR中の過去問5年間分をやらせてみましたが、特別な勉強を必要とする、かなりレベルの高い問題で、5年とも合格ラインに到達できませんでした。「やっぱり、塾に行かないと厳しいな」と思っていると、彼が「お父さん、僕合格できるかもしれない」というのです。「えっ、なんで?」と聞くと、「5年間の内、各科目ごとに一番良い点数を合計すると合格ラインに達する」と言うのです。
「ああ、何て前向き!」彼はその思いを持って受験に行きましたが、結果は案の定不合格でした。しかし、その経験は無駄にならず、やがて大きな勝利への礎になったと思います。
孫娘も結果にこだわることなく、ベストを尽くして挑戦してほしいと思います。そのした努力は、後で必ず力となって自分を助けることになると思います。
あなたのパンを水の上に投げよ。ずっと後の日になって、あなたはそれを見いだそう。伝道者11:1
朝のうちにあなたの種を蒔け。夕方も手を放してはいけない。あなたは、あれか、これか、どこで成功するのか、知らないからだ。二つとも同じようにうまくいくかもわからない。伝道者11:6
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