行きつけの理髪店

公開済み 9月 27, 2020 by 管理人 in アドナイ・エレ

~髪を短く、短くしてください~

先日、妻と一緒に車で自宅から30分ほど離れた所にある美容院と理髪店に行きました。いつものように妻を美容院前で下ろして、私はそこから100mほどの所にある理髪店に向かいました。なぜ2人ともこんな離れた所まで行くかというと、私たちが現在地に引っ越すまで、こちらに住んでいて馴染みにしていたお店だからです。

私が通う理髪店は、ろうあ者のご夫妻がお二人で営んでおられて、私が訪ねて行った時はいつもお客さんが一人もおらず、ご夫妻が客待ちをしながら隅っこの方で、テレビを見たり新聞を読んだりしておられます。

私がドアを開けて入って行っても、なかなか気づいてもらえません。私がお二人の前に立つと、びっくりして「どうぞ、どうぞ」とジェスチャーをしながら散髪用の椅子に案内してくれます。

30年以上前私たちがここに住んでいた時は、教会の開拓を始めたばかりの時で、経済的にも苦しい時期だったので、ほぼ3カ月に1度ぐらいの割合で利用させていただいていました。ですから、散髪を始める時に必ず「短く、短くしてください。」と合図し、短くカットしていただき、そして3か月後、髪がぼうぼうに伸びてからまた訪ねて行って「短く、短く」という具合でした。

その時の私の願いは、やがて経済的余裕ができたら、なかなかお客さんが来ていないこのお店のために、また自分の為にも月に1回は散髪に来たいという事でした。そして今、ようやく経済的に毎月でも散髪に行けるぐらいになりましたが、残念ながら今度は私の髪の方がそうは伸びてきてくれなくなり、その願いもかなわなくなりました。

しかし、今でもそこに行くと必ず散髪の前に、ご主人が「短く?」とジェスチャーして聞いてくれます。そのたびに、私が「普通に」とジェスチャーするのですが、いまだに気を遣わせて申し訳ないです。今ではずっと「普通」で良いですが、上手く伝えられなくて、「短く?」「普通に」を毎回繰り返しています。

この理髪店は散髪や髭剃りが非常に丁寧な上に、耳掃除や鼻毛切までしてくださいます。そして、最後は肩から両手の指先までと脛骨の周りから背骨を腰の所までマッサージもしてくれます。きれいに調髪していただいて頭もすっきりするのですが、マッサージが気持ち良く毎回体が軽くなったような気がします。それで、帰るときは毎回肩を回しながら、体が軽くなりましたとジェスチャーをしながら感謝して帰って来ます。

先日、こんなことがありました。私がお店に入ると二人が困った顔をしています。どうしたのかとジェスチャーしながら訪ねると、紙に「ガスが出なくなったので、ガス屋さんにすぐ来てくれるようにフアックスをするけど連絡が来ない。」と書いて教えてくれました。そこで、ガス屋さんの電話番号を教えてくださって、自分の代わりに電話してくれないかと言われたので、お安い御用とばかりに電話してみました。

すると、ファックスは通じていなかったようで、「私が店を開けられないのですぐ来てくださいませんか」とお願いすると、「すぐ伺います。」と言ってくれました。しかし、ガス屋さんは店の名前を聞いて、普通に会話できていることを不思議に思ったらしく、「ところで、あなたはどなたですか。」と聞かれたので、「この理髪店の客です。」と答えました。そして、すぐ駆けつけてくれたので、散髪していただけました。この時は、少しでもお二人のお役に立てたことを喜びながら帰りました。

何よりもまず、互いに熱心に愛し合いなさい。愛は多くの罪をおおうからです。つぶやかないで、互いに親切にもてなし合いなさい。Ⅰペテロ4:8~9

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