メジロの思い出

公開済み 2月 25, 2014 by 管理人 in アドナイ・エレ

〜「お兄さん。あの時はごめんなさい。」〜

私が小学生の安全登校指導をしている交差点の角に、白梅、紅梅の花を咲かせる梅の木が数本立っています。今年もそれらの梅の木にきれいな花が咲きました。それを見ながら、そろそろメジロが来る頃だなと思って待っていると、ついに先週2羽のかわいいメジロが来て、盛んに梅の花の蜜を吸う姿が見られました。

メジロは雀より一回り小さくて、体の前部は綺麗な淡い緑色をしています。そして、目の周りに白い縁取りがしているかわいい鳥で、私の大好きな鳥です。

メジロは今では鳥獣保護法によって、捕獲や飼育が禁止されていますが、私が小さい頃は鳥もち等を使って捕獲して、鳥かごに入れて飼っていました。

最初に我が家でメジロが飼われたのは、私がまだ小学1年生になったばかりの頃でした。兄がどこからか貰ってきてそれを鳥かごに入れて軒先に掛けて、水を替えたり餌を与えたりしてせっせと面倒を見ていました。

私は小さな鳥かごの中を所狭しと飛び回るかわいいメジロをいつも眺めていました。兄は学校から帰ってくると、餌になる葉っぱを探して取ってきて、それをすり潰して食べさせるのが日課になっていました。

ある日、兄が鳥かごを軒先から取り下ろして、畳の上に置き、何時ものように葉っぱをすり鉢でゴシゴシすり潰して餌を与える準備をしていました。私は鳥かごの横から、泊り棒を飛び回るメジロをじっと眺めていました。

そして、何を思ったのか鳥かごの入口をそっと開けてみました。きっともっと間近で見てみようとしたんだと思います。すると、間髪を入れずメジロが籠の中から勢いよく外へ飛び出して飛んで行ってしまいました。

たまたまその現場を目撃した母は、あれだけ大切に世話をしていたメジロを弟が逃がしてしまったので、兄は烈火のごとく怒るだろうと思ってみていました。すると、兄は何にも言わずに餌を作る手を止めて、そのまま外に遊びに行ってしまいました。

その意外な行動に母も私も少し拍子抜けしてしまいました。そして、後々まで母は「あの時は意外だった。怒ると思ってみていたら、何にも怒らないで出て行ったので、不思議だった。きっと、毎日世話をするのに疲れて、辟易していたんじゃないだろうか。」と言っていました。

私もその後、兄からあの時の真相は聞いていないのですが、きっとかわいい弟への優しさだったのではと思います。いまだに、かわいいメジロを見るたびに、その時のことを思い出します。

「お兄さん。あの時はごめんなさい。また、怒らないでありがとう。」

愛する兄弟たち。あなたがたはそのことを知っているのです。しかし、だれでも、聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい。人の怒りは、神の義を実現するものではありません。ヤコブ11920

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