時宜にかなった助け
〜「真央、何かあったら助けに行くから!」〜
テロの不安を抱えて始まったソチオリンピックが、選手たちや観客の人々に危害が加えられることなく無事終われたことに安堵し、感謝しました。そして、今回も世界中から集まった一流のアスリートたちが躍動する姿に沢山の感動を与えられました。
日本とは5時間の時差があるということで、たいていの競技が深夜から朝方にかけて行われたので、ライブで見ることはできませんでしたが、毎朝のニュースを見るのが楽しみでした。
今回のオリンピックで最も注目を集めたのは、唯一の金メダルを獲得した羽生選手ともう一人、帰国後外人記者クラブにまで呼ばれてインタビューされた浅田真央選手ではないかと思います。
彼女は金メダルが期待されながら、メダルを逃したばかりではなく、普段の実力からみるとかなり不本意な6位という成績に終わってしまいました。それにもかかわらず、大会後のインタビューでは喜びにあふれてインタビューに答えていました。
彼女の19日のショートプログラムは、冒頭のトリプルアクセルで転倒し、後半のコンビンネーションジャンプが2回転ループになるなど、大きなミスが重なり、 16位という彼女にとっては前代未聞の成績で終えました。
演技直後のインタビューではどうしてそうなったのか自分でもわからないと涙をこらえながら語ってくれました。これは傍から見ている私たちにはわからないオリンピック独特のプレッシャーによるものと思います。
金メダルを獲得した羽生選手もフリープログラムでは、得意のジャンプで転倒し、終了後に「全然身体が動かなかった。」と答え、ジャンプの失敗は中学2年生以来だったと、オリンピックの独特の雰囲気に呑まれてしまったことをあかしています。
まだ、若い選手たちがそのようなプレッシャーの中で戦っていることに感謝し、あまり成績のことでとやかく言うべきではないと感じました。
さて、浅田選手はそのようなプレッシャーと前日の経験のないような大ミスによって心が大きく動揺して迎えたであろう翌日のフリープログラムではトリプルアクセルや3連続ジャンプなどを次々と決め、6種類8回のトリプルジャンプすべてを成功させる圧巻の演技を披露しました。そして、最終的に6位にまで順位をあげたのでした。
浅田選手は「これが、自分がやろうと思っていた構成なのでよかったです」と笑顔で話し、前日のショートプログラムでは「すごく悔しくて取り返しのつかないことをしてしまったなという思いがありましたが、フリーでは4年間やってきたことを全て出せたので、支えてくれたたくさんの人たちに恩返しもできたのではないかと思っています。」と晴れ晴れとした顔で話していました。
多くの人の関心を集めたのは、ショートプログラムの失敗であれほどまでに落ち込み、完全に平常心を失って動揺していた彼女が、何故たった1日で別人のようによみがえり、完ぺきな演技ができたのかということでした。
その背後には佐藤コーチの貴重な経験による適切なアドバイスがあったからだと思います。フリー当日の練習でも全く精彩を欠いていた彼女に、佐藤コーチがかつての教え子松村選手の話をされたそうです。
80年レークプラシッド五輪に出場した彼は、試合期間中に扁桃(へんとう)が腫れるなどの体調不良で2日間寝込みながら出場した。その時佐藤コーチから、「ぶっ倒れるまでやれ、倒れたら俺が助けに行く。」と言われ、気合で演じ切って8位に食い込んだということでした。
その話を聞き、「何かあったら私は助けに行くよ。すべてを出し切りなさい。」と言われた浅田選手は、自分は何も悪いところはないのにできないわけがないと発奮して、フリーに臨み最高の演技をしたということです。佐藤コーチの素晴らしい進言に感謝します。
また、私たちクリスチャンの場合は、ひどい状況に苦しむ時は現実を見ないで、真の助け主なる主を見上げなさいと教えられます。
恐れるな。わたしはあなたとともにいる。たじろぐな。わたしがあなたの神だから。わたしはあなたを強め、あなたを助け、わたしの義の右の手で、あなたを守る。イザヤ41:10
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