神様 義母を有難うございましたⅤ
〜「お母さん、きれいになるので我慢してね。」〜
作:牧師夫人 佐多多視子
○美容院篇
認知症の母を私が通っている谷山電停近くの美容院に一緒に連れて行くことにしました。店員さんがパーマの準備で髪に触ろうとすると、「何すんのよ」と言います。私が「お母さん、きれいになるので我慢してね。きれいになりますから」と宥めて、続けて頂きます。
シャンプーの時には、母は小柄なのでシャンプー台に届きません。店員さんが「もう少し上にいってください。」と何度言っても解らないようなので、「すみません。抱えて上にやって下さい。」とお願いしました。
しかし、その次に訪れた時には、10㎝以上の高さのあるクッションを用意してくださっていました。美容院の方々で考えて準備して下さったんだなぁと思って感動しました。
美容院に行った翌日は施設の人たちから「髪がきれいですね」とか「良く似合っていますよ」と言われたと言って私に報告してくれました。それからは美容院に行くのが母の楽しみになっていきました。
今思うと、色々な方々にお世話になったんだなぁと感謝で一杯です。
○収集癖篇
認知症の人によくあることですが、人のものを自分の所に持って来て集めようとします。そのような時騒いだらいけないと思います。
ある時私のドレッサーの上を見ると涼しくなっています。ひょっとしてと思って母の鏡台を見ると私の化粧品と絵ハガキがありました。ここで騒ぐと母の脳に良くないと思い、母がよそ見している間にそーっと持ち去ろうと考えました。もしそれで母がそれを探そうとしたり、パニックになったりしたら、私の不必要なものに母の名前を書いて「これは私のものですが、お母さんに差し上げますね。お母さんの名前を書いておきましたからね。」と言おうと思っていましたが、持ち去っても全然気が付かない様子で、その後も穏やかに生活していましたので、この方法で良かったのだと思いました。
もし私が「お母さん、私のものを取ったでしょう。これ私のものよ。」とか、大声で主人に「お母さんが、私の物を取った。あなたのお母さんが泥棒した。」と騒ぎ立てたら、母の魂はズタズタに傷ついただろうと思います。綺麗なものを見ると自分のところに持って行きたくなるのでしょう。
また、もし母が自分の物を取られたと言ったら、(こう言う事があるという話は以前同じアパートの人から聞いていましたが)、「お母さん、お話を聞かせてください。」と言って、紙に「誰に盗られたのですか?」「何時からないのですか?」「どんな色の財布でしたか?」「いくら入っていましたか?」と質問して返答されたことを書いて「警察に探して下さいとお願いしておきますね。」と言って、全然別の「夕食に何が食べたいですか?」等の話をして他の事に気持ちを向ければと思っていました。
その都度、神様に知恵を求めて対応していきたいと思いました。
では、知恵はどこから来るのか。悟りのある所はどこか。ヨブ28:20
こうして、神は人に仰せられた。「見よ。主を恐れること、これが知恵である。悪から離れることは悟りである。」ヨブ28:28
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