人は変われる
~昔の自分からは考えられない ~
私は勉強が大嫌いな子供でした。3人の兄弟が同じ部屋で勉強していると、そのうちに誰からともなく遊びが始まります。それに気付いた母の「あんた達、遊んでるんだったら加勢しなさい。」との声が外から聞こえてきます。
すると、他の二人はサッと自分の勉強机の前に戻ります。しかし、私は「は~い。」と言って、母の所に行って加勢をします。私の小学生の頃は電化製品などほとんどない生活だったので、後に母は「あの時はあなたの加勢で助かった。」と言っていました。
他の二人の兄弟は、「どうして、加勢に行くの。机の前に座って勉強してるマネをしてたら良いんだヨ。」と言っていましたが、私としてはじっと座って勉強の真似をすることさえも嫌だったのです。
母は私の勉強嫌いを知っていたので、私が宿題をする時(当時は普段、宿題はなかったのですが、夏休みと冬休みに「夏休みの友」「冬休みの友」という宿題が出た)私の横に座って、宿題をさせていました。
後に私が結婚してから母は、私の妻にその時の様子を「トイレに行きたくても我慢して、彼の横に座って私が逃げないように見張っていたのよ?」と言ったそうです。私に勉強をさせるのは最も大変な仕事だったようです。
5年生の時、私に一つのアイディアが浮かびました。そして、母に「私が自分で頑張って宿題をして、それを母に見せるようにするから。」と約束しました。母は私の宿題から解放されると思って、私を信じてその提案を受け入れてくれました。
そこで、私が思いついたアイディアとは「夏休みの友」の宿題を1問おきにしていったら、全部しているように見えるかもという事でした。早速、問題を1問おきにやり始めました。そして、時々母に「宿題を見せなさい」と言われるので、パラパラと急いでめくって見せると、意外とバレないで誤魔化せたのです。母が「あら、本当にやってるのね。何時やったの?」と言って安心していました。そして、休み明けにそのまま学校に提出しました。先生に何にも言われなかったところをみると、他にもしてない子がたくさんいたと思います。
そのような調子で中学・高校時代をほぼ一生懸命勉強することなく過ごし、大学に行きました。大学は50人の学生寮に入りました。1年を終える時、寮で私は特別表彰状をもらいました。
その時の表彰状には「あなたは大学にも授業にも行かず、寮の番人として1年間、寮を守ってくれました。ここにその功績を表します。」というようなものだったと思います。
そのような私が、神様の存在を知り、クリスチャンになった時、180度変わってしまいました。突然本を熱心に読み始めたのです。後ろポケットには常に聖書を入れていて、バスのつり革に掴まっている時も、片手でそれを読みながら立っていました。また、車を運転している時は、助手席に本を置いていて、信号待ちの僅かな時間でも信号が変わるのをチラチラ見て確認しながら本を読みました。
母には「親がお金を出すときは、何にも勉強しなかったのに、今頃になって急に勉強を始めて」と呆れられました。私が変わったのは、神様がおられるのを知り、もっと知りたいと思ったのと、神様を信じた時に、明らかに私の内側から性格が作り変えられることが起こったからだと思います。父は、そんな私の様子を見て「お前のように人生が途中で180度変わった者はいない。」と言って感心してくれました。
あんなに勉強が嫌いで、机の前に座っていることさえも嫌いだった私が、今は毎日静かに座って本を読んだり、文章を作ったりしているなんて、昔の自分からは考えられないことです。
だれでもキリストのうちにあるなら、その人は新しく造られた者です。古いものは過ぎ去って、見よ、すべてが新しくなりました。Ⅱコリント5:17
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