～ ブティックをしたら良いのに ～

私に続いて妻も７０歳の大台に入りました。さぞかしがっかりしているだろうと思いきや、７０歳になるのを心待ちにしていたようで喜んでいます。そこで不思議に思って聞いてみると、「だって１００歳まで生きるつもりだから、７０歳はまだまだ若い、乙女よ。」と言って笑いました。そして、あなたも１００歳まで生きるのよって言われてしまいました。

彼女と私の違いは、彼女は頭を常に働かせていることです。私が一番驚いたのは、教会堂と牧師館の建設の時、彼女は建設会社の方に使い勝手が良いように細かい要望を出していたのですが、牧師館台所のコンセントの位置を中途半端な壁の真ん中にお願いしていました。私は何であんなところにコンセントを作るんだろうか、彼女のことだから何か考えがあるんだろうとは思っていました。やがて、引っ越しをしてきて家具を運び込んで据え付けると、何と家具の隙間にコンセントの位置がピタッとはまっているのです。これには脱帽しました。

また、記憶力も抜群で、昔の細かいことまではっきりと覚えていて、私に語り掛けてきます。それらのことに、ほぼ記憶のない私はいつも「そうだったかなぁ～」と思うことばかりで、思い出せないので無理やり話を合わせています。

彼女の趣味は、クイズを解くことで、特に数独には目がありません。それを解いている時が、彼女の幸せな時間です。

毎朝、二人で早天祈祷会をしてから朝食を食べて、その後私は子供たちの登校の見守りに出かけるのですが、土曜日になると彼女はテーブルに鉛筆と消しゴムを置いて新聞がくるのを心待ちにしているので、土曜日だけは先に新聞を取りに行きます。土曜日の朝刊にはクロスワードパズルや数独、その他の漢字のクイズ等が出ているからです。

数独等難しい時は、集中してじっくり考えて楽しそうですが、易しい時はすぐ出来てしまって少しつまらなさそうです。

その他、数独やクイズがたくさん載った通販カタログの付録冊子が時々届くのですが、その時はとっても嬉しそうに、じっくり腰を据えて解いています。また、テレビのクイズ番組も好きでよく観ていますが、私は頭が痛くなるのであまり好んでは観ません。

また、近頃はバッグや眼鏡ケースなどの小物づくりにはまっています。それは、古い着物をデパートで洋服に仕立て直してもらって、その残り布を使って、コーディネートできるようにバッグ等の小物を作るのです。器用な彼女だからできることです。周りの人から、ブティックをしたら良いのになんて言われています。

また、彼女は居間の自分の椅子の近くに国語辞典を常に置いていて、すぐ調べられるようにしています。さらに六法全書まで居間に持ち込んで調べています。妻の若さの秘訣は常に頭を使っているからなのかなと思います。

一方、私はすべてに頭をあまり使いたくない人間で、深く考えない手抜き人生（自分では究極の省エネ人生と思っている）を送っているので、知恵によって生きる妻には負担が増えて大変だと思います。それで、この頃は私も少しは妻に近づけるように努力を始めています。

小さい事に忠実な人は、大きい事にも忠実であり、小さい事に不忠実な人は、大きい事にも不忠実です。ルカ１６：１０

幸いなことよ。知恵を見いだす人、英知をいただく人は。それの儲けは銀の儲けにまさり、その収穫は黄金にまさるからだ。知恵は真珠よりも尊く、あなたの望むどんなものも、これとは比べられない。その右の手には長寿があり、その左の手には富と誉れがある。その道は楽しい道であり、その通り道はみな平安である。知恵は、これを堅く握る者にはいのちの木である。これをつかんでいる者は幸いである。箴言3：13～18