被災者も共に喜べるオリンピックを
〜日本中で素直に熱狂できるように〜
2020年のオリンピックが東京で行われることに決定しました。開催地決定の瞬間を見ようと日本中で多くの方々が朝早く起きてテレビの前に釘付けになっていたようです。
中継では、日本での開催が決定した瞬間、IOC総会でプレゼンテーションをした安倍総理大臣をはじめ、プレゼンターの方々、それに現地に駆け付けていたスポーツ関係者等が一斉に歓喜の声をあげ小躍りして喜んでいるのが見えました。
かく言う私は、早天祈祷会後にニュースで流されたのを見ただけで、朝起きて決定の瞬間を見ていたわけではありませんが、関係者の労苦を思うとき、決まって良かったねとお祝いを述べ、これまでの労をねぎらいたいと思います。
ただ、福島で避難生活をされておられる方々が、オリンピックで騒ぐ人々を見て、「何か、自分達とは違う国の出来事のように感じる。」とか「私たちは棄民です。」と言っておられたのを聞くと、東京へのオリンピック招致という素晴らしいニュースを、もう一つ素直に喜べないような気になってしまいます。
国際オリンピック委員会(IOC)総会でのプレゼンテーションで、安倍晋三首相は、東京電力福島第一原発の放射能汚染水漏れについて「完全にブロックされ、東京にダメージを与えない」と強調、IOC委員らの質疑応答に対しては「汚染水の影響は福島第一原発の港湾内0.3平方キロメートルの範囲内で、完全にブロックされている」と答えられました
IOC委員は安倍首相のこの確信に満ちた説明に、汚染水に対する不安は払しょくされ、東京を支持してくださる結果となりました。
しかし、その発言を聞いた福島のある漁師は、「そんなに言うならここに来て魚を食べてみてくれ。ここの海の水を舐めてみてくれ。」と不満をぶつけていました。彼らとしては、2年半経った今も汚染水の流出の問題が後を絶たず、いまだに漁を再開できない現実的な苦しみがあるのに、なぜその様な事が簡単に言えるのかと言いたかったのでしょう。
普通だったら日本中をあげて喜ぶオリンピック招致の朗報を、今一つ喜べない人々がおられることは、同じ日本人としてとっても悲しいことです。
オールジャパンでオリンピック招致を勝ち取ったのであるならば、今度はオールジャパンで福島の汚染水の問題のみならず、震災被災地の復興に力を注ぎ、7年後オリンピックに来られた方々に被災地の驚異的な復興の姿を見せられるように、全力を挙げて行っていただきたいと思います。
短期間で第2次世界大戦後の驚異的な復興を世界に魅せしめた日本の底力を、もう一度ここで発揮する時だと思います。日本にはそのような秘めた力があることを信じます。7年後のオリンピックは日本中で素直に熱狂できるようにオールジャパンで頑張りましょう。
ふたりはひとりよりもまさっている。ふたりが労苦すれば、良い報いがあるからだ。どちらかが倒れるとき、ひとりがその仲間を起こす。倒れても起こす者のいないひとりぼっちの人はかわいそうだ。また、ふたりがいっしょに寝ると暖かいが、ひとりでは、どうして暖かくなろう。もしひとりなら、打ち負かされても、ふたりなら立ち向かえる。三つ撚りの糸は簡単には切れない。伝道者4:9~12
No Response to “被災者も共に喜べるオリンピックを”